生トマトと3倍濃縮ペーストを使ったパッパ・アル・ポモドーロ(料理・写真提供 クリマディトスカーナ)

次にご紹介するのは、トマトのパン粥(がゆ)「パッパ・アル・ポモドーロ」。パン粥という聞きなれない料理にたじろぐかもしれないが、イタリア人にとって食欲がなかったり、体調がすぐれなかったりするときのお助けメニューでもある。これもまたフードロス削減になるし、家飲みのあとの締めにもよいだろう。

ホールトマト缶でつくれるトマトのパン粥

日本で新型コロナウイルス感染対策として初めて緊急事態宣言が出されたとき、イタリア食材・ワインの輸入商社「日欧商事」(東京・港)が「おうちイタリアン」向けにつくった動画がある。佐藤シェフがパッパ・アル・ポモドーロのつくり方を紹介したのがその1つ。日欧商事のホームページ(HP)で見られるようになっている。

動画で紹介されているのはホールトマト缶を使ったつくり方だが、今回は日本のフレッシュトマトを使った方法を佐藤シェフに教えてもらった。

硬くなったパンを入れたばかりのパッパ・アル・ポモドーロ(料理・写真提供 クリマディトスカーナ)

鍋にオリーブオイルとニンニクを熱し、ニンニクの風味を移す。ザク切りにしたトマト、バジリコ(またはセージ)、野菜のブロード(だし=野菜コンソメの素を使ってもよい)を入れ、コクを出すためにトマトの濃縮ペーストを足し、10分ほど煮る。硬くなったパンを入れてさらに煮て火を止める。鍋に蓋をしてふやかし、泡立て器で軽くパンをつぶして、塩で味を調える。

「フィレンツェのエノテーカピンキオーリでも、リストランテならではのパンツァネッラとパッパ・アル・ポモドーロを出していました。うちの店でも出しております」と佐藤シェフは言う。現地のミシュラン三つ星店がこのような家庭料理を? と驚かれるかもしれないが、郷土料理や地方料理、伝統料理がベースにあるイタリア料理は、家庭でつくられるものも多い。だから、こうした家庭料理が、リストランテでも温故知新のスタイルで出されるのである。

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シェフお勧め「3倍濃縮トマトペースト」の実力