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朝ドラ『おかえりモネ』 共感しながら楽しんでほしい

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日経エンタテインメント!

NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)第104作の『おかえりモネ』が、5月17日にスタートした。宮城県気仙沼湾沖の自然に恵まれた島で育った永浦百音(清原果耶)、愛称・モネが、東日本大震災から3年後の2014年、高校卒業後に内陸の登米市に就職のため移り住むところから物語が始まる。森林組合で働き始めたモネは、この地で天気予報の可能性と魅力を知り、やがて気象予報士を目指す。本作は、東日本大震災で被災した当事者はもちろん、地震によって何かしら傷ついた心を持つ人にも寄り添い、ドラマとして希望を届けることを目指す。

制作統括を務める吉永証氏は、「震災から10年目の春というタイミングで、現代ものであれば、震災を背景にしないことは考えられなかった。10年たち、そこからどう歩み、次に進むのか。この作品を通し、私たちなりのメッセージを込めたいと考えました」と語る。

清原は、制作陣からのオファーで主演が決まった。朝ドラは女優デビュー作の『あさが来た』(15年)、朝ドラ100作目の『なつぞら』(19年)に続いて3作目。『あさが来た』の頃から、「未来の朝ドラヒロイン候補」と目されてきた。

「清原さんは、どこかセンシティブで、抑制された役柄を演じることが多かったと思います。今回は、ある悩みを抱えてはいるものの、伸びやかで明るい、みんなをリードするような強さを持っているキャラクター。そんなモネを通して、清原さんの豊かな表情を見ていただきたいです。気仙沼で家族といるときと、登米で個性豊かな人たちといるときでは違いますし、社会人としていろいろな経験をした後に気仙沼に帰ってきたときの思いも、非常に豊かなお芝居で表現してくれるはずです。このドラマは視聴者のみなさんに、モネ目線で共感しながら楽しんでほしいです」(吉永氏、以下同)

モネは登米で、東京から来た人気気象予報士の朝岡覚(西島秀俊)と出会い、この職業に興味を抱く。朝ドラで主人公が気象予報士になるのは初めてのこと。「気象予報士は天気を伝える以外に、ものを作る際の生産計画から、アイスクリームの売り上げ予測まで、生活やビジネスに密接に関わっています。それこそ、スポーツの屋外競技は、天候が勝負の行方を左右する。先々の未来を考えるという意味で、すごく広がりのある職業だと感じています」

セリフが考え抜かれた脚本

脚本は、清原の初主演作となった連ドラ『透明なゆりかご』(18年)や、本作にも出演する西島秀俊と内野聖陽がダブル主演した『きのう何食べた?』(19年)などを手掛けた安達奈緒子。

「この作品では、特に人物の感情のひだを細やかに表現したくて、近年勢いが加速していて実力のある、安達さんがいいのではないかとなりました。安達さんの脚本は、描かれる人物像が非常に奥深い。セリフが考え抜かれていて、単純な一言のように聞こえても、丁寧に読むと、実はその人物が抱えている背景や考え方がしっかりと書かれている。それゆえ、俳優のみなさんも、安達さんの脚本はすごく良いとおっしゃっています。ただ、ハイブローで決して分かりやすいだけではないので、ちょっとしたニュアンスをきちんと伝えるために、キャストと監督はコミュニケーションをよく取っています」

共演は、両親役に内野聖陽と鈴木京香、祖父を藤竜也、妹を蒔田彩珠が演じる。「内野さんと京香さんの父親・母親役は、意外なようで絶妙だと思います。内野さんはとても優しくてユーモアがあり、清原さんも内野さんがいると落ち着くと言ってますね。京香さんは宮城県出身で、震災後の復興にも尽力している方。宮城県が舞台の作品で、京香さんにお母さん役を演じてもらわずしてどうする、との気持ちでお願いしました。家族役の皆さんは盤石の布陣。楽しいやりとりだけでなく、時にぶつかったり、それぞれの思いが交差したりと、見どころの1つです」

朝ドラで現代ものは、『半分、青い。』(18年)以来。「14年からスタートし、ほぼ現在までを描く予定です。今回は宮城や気仙沼ならではの"情"がふんだんに入り、試写会では『自分と重ね合わせて、いろんな感情が湧いた』との感想も寄せられました。モネをはじめ、登場人物の心情がどんどん変化して次の話につながるので、毎日冒頭から見ていただきたいです」

『おかえりモネ』
 登米でモネを下宿させる新田サヤカを夏木マリが、モネと共に成長する診療所の医師・菅波光太朗を坂口健太郎が演じる。モネの幼なじみ役は、永瀬廉、恒松祐里、前田航基ら。永瀬が演じる及川亮の父親で、震災から立ち直れない新次役は浅野忠信。モネが東京で就職する気象予報会社の同僚役は西島秀俊に加え、今田美桜、清水尋也ほか。語りは、すでに亡くなっている祖母・雅代として劇中にも登場する竹下景子(月~土曜8時、土曜は1週間の振り返り/NHK総合ほか)

(ライター 田中あおい)

[日経エンタテインメント! 2021年6月号の記事を再構成]

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