銀歯値上がりの背景に「脱炭素」 原料5年で6倍超に

歯の治療に使う銀歯の価格が上がっています。歯科医が仕入れる銀歯の実勢価格を調べると、2019年9月は1グラム2000円を切っていたのに対し、今年4月上旬時点の価格は3200円前後まで上がっています。じつに1.6倍になりました。原材料のある貴金属が高騰しているためなんです。その貴金属とは「銀」でしょうか。いいえ違います。銀歯はその名前から銀のイメージが強いですが、実は「金銀パラジウム合金」、通称「金パラ」という合金から作られているんです。成分は銀がほぼ半分、さらに日本産業規格(JIS)規格で金12%、パラジウムが19%などと定められています。このうちパラジウムの価格が高騰しているのが大きいのです。

国際価格は5倍以上に

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場するパラジウム先物価格は現在、1トロイオンス2800ドル前後。この5年で5倍以上になっています。2015年からの相対チャートで、同じ貴金属である金や銀と比べてみるとパラジウムの突出した値上がりがよくわかると思います。

値上がりの背景にあるのが「脱炭素」。特に自動車の排出ガス規制です。地球温暖化や気候変動を食い止めるため、世界で排ガス規制が強化されています。この規制をクリアするために欠かせないのが「排ガス浄化装置」です。この装置内の「触媒コンバーター」という部品にパラジウムが使われています。同じ貴金属のプラチナも浄化装置に使いますが、こちらはディーゼル車向け。ガソリン車にはパラジウムが使われます。ここ数年、中国がガソリン車の排ガス規制を強めており、パラジウムの価格上昇に拍車がかかっています。

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保険適用で治療費上がらず