7割超が「働く母」 活用したい出産育児支える仕組み

2021/6/22
写真はイメージ=PIXTA
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お金に困らない人生を送るために大切なのは、働き続けて収入を絶やさないこと。子どもが生まれても、育児と仕事を両立させていくのが望ましいといえます。大変な面もありますが、両立を支える仕組みや環境はだんだんに整ってきています。今回は、出産・育児をお金の面でサポートしてくれる制度を取り上げます。

日本では1997年以降、共働き世帯が専業主婦世帯(男性雇用者と無職の妻の世帯)を上回っています。その差は年々開いていて、2019年時点では約7割が共働き世帯となっています。

「子のいる母」のうち「仕事あり」の人の比率も年々増加。2019年の「国民生活基礎調査」によると、子のいる母の72.4%、末子が0歳の場合でも49.9%の母が働いています。

出産・育児で休業する人を支える制度はだんだんに充実してきていて、休業中に受け取れるお金も手厚くなっています。どんな制度があるのか、概要を押さえておきましょう。

出産で受け取れるお金

正常分娩の費用は全額自己負担ですが、それを補うものとして健康保険から「出産育児一時金」が受け取れます。健康保険の加入者や加入者に扶養されている人、フリーランスなどで国民健康保険に加入している人が対象なので、ほとんどの人が受け取れるといえます。

金額は現在、1児あたり42万円で、双子の場合は2倍になります。多くの場合、健康保険組合などから出産した病院へ直接支払われ、出産費用が出産育児一時金より少なかった場合は、差額が受け取れます。加入している健康保険組合によっては給付が上乗せされることもあります。

出産費用の平均は50万円程度なので、出産育児一時金でかなりカバーできることになります。

産休中に受け取れるお金

出産前後には休業を取ることができ、期間は、産前6週間、産後8週間です。健康保険組合などに加入している会社員の女性は、産前産後休業中に収入が減ったりなくなったりしたときに健康保険から「出産手当金」が受け取れます。

金額は産休1日につき、

「標準報酬月額(手当などを含めた1カ月の総支給額)÷30日×2/3」。

産休中に勤務先から支払われる報酬がこれを上回れば給付はありません。報酬のほうが少なければ、手当金との差額が支払われます。

受け取れるのは産前6週間+産後8週間のうち勤務しなかった日数分で、出産が予定日より遅れた場合はその日数も含まれます。

産休中の報酬がゼロで標準報酬月額が24万円のケースだと、

1日あたり

(24万円÷30日)×2/3=5333円

となります。

育児休業で受け取れるお金

子どもを養育する労働者は、母親も父親も育児休業を取ることができます。

期間は、母親は産休終了後から、父親は出産日(もしくは出産予定日)から、子が1歳になる誕生日の前日まで。母親・父親ともに育児休業を取得する「パパママ育休プラス制度」を利用する場合は1歳2カ月まで延長でき、保育所に入れないなどの理由があるときは2歳の誕生日の前日まで延長が可能です。

育児休業中に勤務先からの報酬が減ったりなくなったりしたときは、雇用保険から「育児休業給付」が受けられます。母親だけでなく、育児休業を取る父親も対象で、一般に休業開始前2年間に、1カ月の勤務日数(給与をもらった日)が11日以上ある月が12カ月以上あることが条件です。

受け取れる金額は、休業開始から休業日数が通算180日までは

「休業開始時点賃金日額×30日分×67%」

181日目以降は

「休業開始時点賃金日額×30日分×50%」

で、それが1カ月分の給付として支払われます(支給は原則2カ月に1回)。

「賃金日額」は、休業の直前6カ月間に支払われた賃金(各種手当を含む。賞与は除く)の合計を180で割ったもの。ただし、上限があります。

休業前の賃金が月15万円だと、休業開始後6カ月間の支給額は10万円、7カ月目以降は7万5000円、休業前の賃金が月20万円だと、それぞれ13万4000円、10万円が目安です。

休業中に勤務先から賃金が受け取れる場合、その賃金が休業開始時の賃金の80%を超えているときは育児休業給付はありません。80%未満のときは、賃金額に応じて給付が減額されます。

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