ジャガーXFスポーツブレイク これぞあるべきワゴン

2021/8/8
ジャガーXFスポーツブレイク S D200 AWD(4WD/8AT)
ジャガーXFスポーツブレイク S D200 AWD(4WD/8AT)
webCG

化粧直しはそこそこ? と思いきや、仕様変更でパワーユニットや室内の装備など、見えない部分にまでしっかり手が入れられたジャガーのワゴン「XFスポーツブレイク」。ステアリングを握れば分かる、最新型の乗り味をリポートする。

これぞワゴンのあるべき姿

久々に間近でじっくり眺めるXFスポーツブレイクは、やっぱりカッコよかった。それはいかにもステーションワゴン(以下、ワゴン)らしい流麗なカッコよさである。ワゴンはリアオーバーハングがセダンより長いのが本来の姿なのだが、実際に全長がセダン比できちんと伸ばされているワゴンは多くない。その点、XFスポーツブレイクの全長は、たった5mmではあるがセダンよりも長い。

XFスポーツブレイクの、流麗なカッコよさのもうひとつ理由はリアクオーターウィンドウにある。最近は、この部分をできるだけ小さく短く、軽快に見せるスポーツワゴン≒ショートワゴン路線のデザインを採るクルマが多いが、XFはその逆である。ご覧のようにリアクオーターピラーが極力細く見えるように造形してあり、その直前のウィンドウグラフィックもピラーやルーフラインに沿うようにできるだけ大きく、そして長く見える形状になっている。ワゴンはやっぱりお尻が長いほうがカッコいいのだなあ……と、筆者はXFスポーツブレイクを見るたびに再確認する。

そんなXFスポーツブレイクを、この時期にあらためて眺めることになったキッカケは、先日上陸したばかりの2021年モデルの試乗車が用意されたことにある。新型XFそのもののデビューは実質2016年モデル(スポーツブレイクは2018年モデルで追加)だったので、今回の2021年モデルで5年目となるが、これまでで最大規模の改良の手が入った。ジャガー日本法人はそうとは表現していないが、一般的には、これはマイナーチェンジだろう。

今度のXFは、外観ではセンターグリル内部のメッシュデザインやバンパーグリル、ヘッドライト(新たに“ダブルJ”をかたどったフルLEDライト)などが新しい。パワートレインはV6や4気筒ガソリンの「P200」が姿を消すなどのリストラが入り、ラインナップ数も従来の17種類から11種類へと減少した。

伸びやかなスタイリングが特徴とされる、ジャガーのワゴン「XFスポーツブレイク」。大幅な仕様変更が施された2021年モデルは、国内では2021年5月に注文受け付けが始まった。
最新型「XF/XFスポーツブレイク」のフロントまわりには、ダイヤモンド形状のグリルメッシュや「J」の字をモチーフにしたLEDヘッドランプが採用されている。
2021年モデルでは、新デザインのアロイホイールも追加された。写真は「“スタイル7013”7スプリットスポーク」と名づけられた19インチホイールで、26万8000円のオプション。
今回の試乗車は、クリーンディーゼル搭載モデル。仕様変更に伴い、グレード名はこれまでの「D180」から「D200」へと変更された。

目立たぬところもアップグレード

いっぽう、今回の試乗車も含めた2リッター4気筒ディーゼルについてはポジティブなニュースが多い。まずエンジン本体の最高出力が204PS(以前は180PS)に引き上げられた(グレード名も「D180」から「D200」に変更された)のに加えて、全車に48Vのマイルドハイブリッド(MHEV)が組み合わせられた。ただ、これまで2WDと4WDがあった駆動方式は全車4WDに統一というリストラも同時実施されたが(本国では今も2WDが残る)。

……といった事前情報を織り込みつつ試乗車に乗り込むと、今回のハイライトがインテリアの刷新であることが即座に分かる。これはほぼ同時に改良された「Fペース」とほぼ共通のデザインで、ダッシュボードからインストゥルメントパネル、センターコンソール、ドアトリム、ステアリングホイールにいたるまで、従来との共通部分は事実上皆無といっていい。資料によると、フロントシートもクッション形状から新しいという。

なかでも目立つのは11.4インチという巨大な(しかも湾曲している)センタータッチスクリーンと、新しいシフトセレクトレバーだ。従来のロータリーダイヤル式と「クリケットボールがモチーフ」という新しいシフトセレクターのどっちがいいか……好みの問題もあろう。ただ、クルマの前後進をつかさどるシフト操作は、ダイヤル式の左右方向より、今回のように前後方向のほうが認知工学的に自然なのは事実だ。

感心したのは今回は見た目のデザインやセンターディスプレイに内蔵される各種ハイテク装備だけでなく、おおもとの内装素材もアップグレードされたことだ。従来も目立つ部位には手ざわりのいいレザーやソフトパッドが使われていたが、ダッシュボードの下半分やグローブボックス、ドアポケットなどはハードな樹脂だった。しかし、新しいXFではそうした目立たないところにまで、柔らかいソフトパッドが使われるようになった。

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