「おそらく、歩数を指導された群は、自己管理がしやすかったのだと思います。歩数計を見ると、その日の数値目標に達しているかが一目でわかり、足りてないと『じゃあ、あと1000歩歩こう』というふうに行動につなげられます。一方、時間を計るのはけっこう難しくて、その日何分歩いたかが把握できず目標を立てづらいのでしょう。歩数計はiPhoneの標準機能として搭載されているほか、無料アプリもあって簡単に手に入れられます。ぜひ入手して、1日あたり、今よりも2000歩多く歩くことを目標にしてください。最終的には1日8000歩を目指すと、メタボ予防や認知症予防など、さまざまな健康メリットがあります」(田村さん)

田村さんによれば、外来の診療では、コロナ禍でテレワークになった途端に歩数が激減した糖尿病患者が多いという。

「特に通勤していた時にたくさん歩いていた人は急激に歩数が減りました。明らかに運動不足を自覚している人が多いです。そのような場合には、『いつも通勤している時間には一度外に出て散歩するようにしましょう』と指導しています。そのように歩く時間を作らないと、歩数をいつものレベルに戻すのはかなり難しいです」(田村さん)

「まとめて30分」より「30分おき」の運動で血糖値が下がる

「有酸素運動をしっかり行うこと。加えて、座る時間の合間にこまめに動くと、プラスアルファ効果が望めます」と田村さんはアドバイスする。

じつは、「朝30分だけ運動」するよりも、座り時間の30分おきにこまめに運動(1分40秒歩く)を入れるほうが、血糖値上昇を抑制できたという報告があるのだ(下グラフ)。

「運動は20~30分継続して行わないと意味がない、と言われてきましたが、ちょこちょこと歩くだけでもしっかり効果が出ることがわかってきました」(田村さん)

30分おきのこまめな運動で血糖値が下がった

70人の健康な正常体重の成人を、「9時間座ったまま」「朝の30分の歩行とその後は座ったまま」「30分おきに1分40秒歩く(合計18回)」の3群に分けた。被験者は60分、240分、420分後に食事代わりの飲料を飲んだ。その結果、「30分おきに1分40秒歩く」群は他の群と比較し、最も効果的に血糖値が下がった。(データ:Am J Clin Nutr. 2013 Aug;98(2):358-66.)

とかく「運動」というと、「ジムに通う」あるいは「ランニングウエアに着替えてジョギングをする」といったように、場所を変えて、きちんと準備をしてから“わざわざ行うもの”というイメージを持つ人が少なくないが、そういったイメージに縛られていると腰が重たくなるばかりだ。

「運動することばかりが体を動かすことではありません。わざわざ運動をする、ということができなくても、歩いたり、家事をしたり、ちょっと遠いコンビニに買い物に行く、植物に水やりする、ストレッチをする、自転車に乗るなど…こんな日常の生活活動でも、十分に身体活動にカウントできます。安静時よりもエネルギー消費が大きいものは、すべて身体活動に当てはまります。こまめに体を動かすことから意識づけてみましょう」(田村さん)

ちょっとした工夫で歩数を増やそう!

少し工夫すれば、日常生活で体を動かすことはできる。例えば、ちょっとした散歩、スーパーへの買い物、お昼休みに少し遠くの店にランチに行くなどで活動量を増やせる。ちなみに、中強度の運動とは、「ややきつい」「話を続けにくくなる程度」のレベルのもので、早歩きがそれに当たる。いつもよりきびきび歩けば、10分程度で1000歩になる!
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メタボを予防し筋肉の健康をキープする食事とは?