太田和博・専修大教授「料金制度の議論深める機会に」

高速道路料金のあり方をどう考えたらよいか。道路政策に詳しい専修大学の太田和博教授に聞きました。

――東京五輪・パラリンピックの期間中、首都高速道路は料金を日中に1000円上げ、深夜・未明に値下げします。効果はありそうですか。

太田和博・専修大学教授

「選手や関係者の移送で定時性を確保するため、料金を上げて交通量を減らすのは合理的だ。割り増し分は2000円でないと十分な効果が出ないとのシミュレーションもあったようだが、コロナ禍で交通量が減り、結果として1000円でも定時性の確保に資すると思う」

――五輪をきっかけに混雑に応じて料金を弾力的にする動きは広がりますか。

「料金のつけ方、より一般的には価格、値段のつけ方は2種類ある。一つは鉄道運賃のように、コストに基づき採算が合う金額にする考え方だ。もう一つは需要、受益に応じて値段をつける考え方で、需要曲線に基づいて高い値段を払っても受益を求める人にはたくさん払ってもらう。高速道路料金はこれを基本にする」

「混雑は需要が多い状態だ。高速道路で遠くに行く人は一般道の混雑を避けようとする時間帯が長くなり、高速道路の利用による受益が大きい。そのため混雑時に料金を上げても乗り続ける。一方、短距離の人はすいているときに料金が下がると乗るようになる。混雑に応じて料金を上げ下げすると、全体として走行台数が増える。これは道路資産が有効活用されることになり、社会的に良いことといえる」

「全体の走行台数が増えると料金収入も増えることになるが、高速道路会社は営利企業ではない。料金は建設時の借金の返済に充てる分だけ取り、収入は一定にすることになっている。このため走行台数が増えれば平均単価は下がる。混雑はほかに悪影響を及ぼす外部不経済効果があり、混雑時の課金はこれをコントロールする意味もある。これらを全体として考えれば、混雑時の料金を上げ、すいているときは下げるようにすべきだいうことになる」

――弾力的な料金によって平均単価が下がることは値下げの余地が出てくるといえます。利用者にとっても良いことではないですか。

「問題は『混雑しているときに高い料金を払え』ということが社会的に受け入れられるかだ。割増料金でも使わざるをえない人は使う。その人たちにしてみれば、すいている道路は無駄な道路で、混雑しているのは必要な道路を整備してくれないからだ、と映るかもしれない。丁寧な説明が必要であり、割り増し分で混雑区間の車線を増やすなど、混雑対策に還元することを考えるべきだろう」

「さらに道路に対する基本的な考え方の問題もある。道路はそもそも国民の共有物で、料金は公共料金だから、値段に差をつけるのはおかしいという考え方だ。誰でも平等に使えるようにすべきだというなら、料金に差を付けることに理解を得るのは難しいかもしれない」

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