あなたのガクチカ、なぜ伝わらない? 記入例から解説ふつうの大学生のための就活ガイド 第4話

2021/6/23
日本大学経済学部・安藤至大教授が、これから就職活動を始める「ふつうの大学生」の相談に乗る、ストーリー形式の連載「ふつうの大学生のための就活ガイド」。第4回のテーマは「ガクチカ」(学生時代に力を入れたことの略称)の書き方です。(学生も会話もフィクションです)

N大学経済学部3年生の南蒼太(みなみ・そうた)は労働経済論の授業を担当している安藤先生のところへ就活の相談に来ています。前回、就活の「ルール」について理解したところで、実際にエントリーシート(ES)を書いてみることになりました。

安藤先生 では早速ESのサンプルに記入してみましょう。

蒼太 ちょっと展開が早くて驚いていますが、頑張ります。

安藤先生 本当ならば、まずは働き方に関する自分の希望を整理したり、業種や企業のことを調べたりする方がいいのですが、「就活ゲーム」の構造を理解する上で有益なので、先にESに取り組んでみましょう。

さて、このサンプルESで聞かれているのは、「志望動機」と「ガクチカ」ですね。

蒼太 えーと、志望動機は「この学生は内定を辞退しないか、また入社してもすぐに辞めてしまわないか」という企業側の不安に答えるもので、ガクチカは「会社に入って活躍してくれるか」という不安に答えるんですよね。

安藤先生 その通りです。ところで南さんは「この会社で働きたい」と思う企業名を具体的に挙げられますか?

蒼太 今のところ、僕は、ハウスメーカーとかリノベーション(建物の改修)の会社に興味があります。ちょうどゼミの卒業生でDリノベーションという会社で働く先輩がいて、ゼミのOB・OG会に参加してくれたんですよね。その先輩はオンライン参加だったので1対1で話すような機会はなかったんですが、会社の話が少しきけました。

リノベーションと聞くと建築学科を出た人が働く場所というイメージがありました。でも僕と同じ経済学部を卒業した先輩も活躍しているみたいだし、仕事が楽しそうだったんですよね。

安藤先生 それは良い機会でしたね。

蒼太 話を聞いていて、「確かに家って大事だな。結局、家にいる時間が1日で最も長いからなぁ」と思ったんです。

その後は街を歩いているときにも、なんだか住宅が気になるようになりました。特に古いマンションや一戸建てを見ると、「暮らしやすい住宅なのかなあ。先輩の会社でリフォームとかしたらどのくらい便利に変わるのかな」といったことを考えたりします。

こんな経緯で、いつの間にか住宅関係の仕事に関われたら楽しいだろうな、ちょっとDリノベーションみたいな会社で働いてみたいなぁと思ったんですよね。

安藤先生 わかりました。それでは、今回のESは、Dリノベーションに応募することを想定して書いてみましょう。本日は、まだ研究室にいますので、今ここで書いてくれてもいいですし別の場所で書いたものを後で持ってきてくれてもいいですよ。

蒼太 ありがとうございます。今日はもう授業がないので、ここで書かせてください。

(30分後、蒼太の記入が完了。安藤先生がそれに目を通す)

安藤先生 お疲れさまでした。まず「ガクチカ」について先にチェックしていきましょう。

■あなたが学生時代に力をいれてきたことはなんですか?(800字以内)
 私が学生時代に力をいれてきたことは3つあります。
 1つ目は飲食店でのアルバイトです。アルバイト先ではその接客技術をかわれてバイトリーダーになりました。飲食店に勤めている中で、お客様に寄り添い、丁寧に接客することが重要であると学びました。これからもお客様を大切にするという気持ちをもっていきたいと思います。
 2つ目が高校時代の部活動です。私は、高校時代に甲子園を目指して日々仲間と共に野球をしてきました。野球部では、レギュラーになるための部員間の競争もありますが、勝利をつかむためにはチームワークが欠かせません。常にチームをベストな状態にもっていくために、私は自分のポジションを守るだけではなく、率先して声出しや雑用もこなしました。
 3つ目は大学受験を頑張りました。高校時代は、部活動で野球を高校3年生の冬まで続けていたので受験勉強との両立が大変でしたが、勉強も部活も中途半端で終わらせたくないと思い、最後までやり切りました。この経験から自分の決めたことを最後までやりきるという責任感を学びました。これからも自分の行動に責任を持って取り組みたいと思います。
 以上、3つが私が学生時代に力をいれたことです。
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