外資が欲しいのはスペシャリスト、ビデオ面接は予習を

ロバート・ウォルターズ・ジャパン(東京・渋谷)のジェレミー・サンプソン社長

――外資系企業は景気が悪くなると、日本から撤退してしまう印象がありますが、今回のコロナ禍ではどうでしたか。

「少し誤解があるように思います。私の知る限り、少なくとも中規模以上の企業ではコロナ以降、日本から撤退したという例は思い当たりませんし、逆にコロナ後の回復を見すえ、日本への投資を増やす企業もありました。世界的にみて、日本が非常に魅力的な市場であることに変わりなく、コロナによって事業計画に多少の変更が生じたかもしれませんが、日本からの撤退にはつながらなかったと言えるでしょう」

「一方で、最近、新たに日本市場に進出する企業が増えています。自動車の自動運転関連の部品企業や工場の自動化(FA)関連など日本の製造業向けビジネスを担う企業や、コロナ禍の行動変容による需要を見込む分野のベンチャー企業が代表的な例です。ベンチャーは10人未満程度のスタートアップが多いですが、フードデリバリーのように海外で急成長した企業が満を持して進出してくるケースもあります」

――外資系企業で必要とされる人材の特徴は。

「第一に、スペシャリスト、専門家であることです。日本の会社で一般的な、様々な仕事を一つの組織のためにしてきた経験がある人(ジェネラリスト)ではなく、特定の分野で多くの経験や知見を持つ専門家を必要としています」

「第二に、自立性があり、主導権がとれる人。コロナ禍で外資系企業では在宅勤務の比率が高い傾向にあります。指示されるのを待つのではなく、自身でモチベーションを感じ、自ら進んで行動するような人が求められています」

「第三にコミュニケーション力です。オンラインでもリアルでも、自分の伝えたいことをしっかりと説明でき、同僚と信頼関係を築けることが重要です」

「英語力については、ある程度大事ではありますが、たとえ日常会話レベルの英語力であっても、自分の言いたいことをはっきりと表現し伝えることができれば問題ありません。『外資系企業で働くには英語が大変流ちょうでなくてはならない』と思われがちですが、必ずしもそうではなく、しっかりと意思疎通できることが重視されています」

――外資系企業の求人に応募するにあたり、気を付けておきたいことは何ですか。

「外資系企業では日本の履歴書ではなく、英文履歴書(CV)や職務経歴書が重視されます。これまでの職歴や成果、身につけてきた専門性がうかがえるような業務内容、強みとするスキルを分かりやすくアピールするとよいでしょう。単なるキャリアの要約ではなく、ビジネスパーソンとしての強み、スキル、成果をハイライトしたものになるよう心がけてください」

「面接は一般的に3回前後で、1次が当該部署の上司(採用された場合に一緒に働く人)、2次で人事担当、最終が経営幹部などの上層部となるケースが一般的です」

「海外の本社のメンバーとのリモート面接を課される場合もあります。海外本社との面接のほか、面接官が皆日本人であっても、英語力をはかるために英語で話すこともあり、外資系企業の選考過程では英語の面接が非常に多いと言えます」

「オンラインツールが広がるにつれ、よく見かけるようになったのが、ビデオによる事前録画式の『面接』です。1次面接が事前録画式の場合もあります」

「事前に提示された複数の設問に答える様子を自身で録画するというものです。慣れていないと違和感をおぼえることもあり、練習が必要でしょう。1次面接から2次に至る選考過程が効率化できるので、事前録画式をとる企業は今後増えていくと思います」

「面接でも経歴書上でも、日本人の転職希望者は謙虚すぎるきらいがあります。たとえば『120%の営業目標を達成しました』などと自身の成果を明示できるのが理想的ですが、はっきりと示さない人をよく見かけます。謙虚さは立派な強みではありますが、転職活動中は自信を持って、自分自身を強く売り込むことが必要です」

次のページ
柔軟性やオープンマインドが重要
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら