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コロナの起源、武漢研究所との関係 調査結果8月報告

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ナショナルジオグラフィック日本版

新型コロナウイルスが中国武漢の研究所から誤って流出した可能性は「極めて低い」という報告書を世界保健機関(WHO)が発表してから数カ月。多くの科学者から否定され、一部では陰謀論とも言われた流出説が現在、再び注目を集めている。

この説が新たに話題にのぼるようになったのは、ジョー・バイデン米大統領が2021年5月26日、米国の情報機関に対し、新型コロナウイルスの起源を調査する「努力を倍加」するよう指示を出してからだ。

5月11日、大統領主席医療顧問のアンソニー・ファウチ氏は、ウイルスが自然に発生したものかどうかについて、今のところ「確信はない」と述べている。これは、20年にナショナル ジオグラフィック誌のインタビューで語った内容からの明らかな方向転換だった。

また5月14日には、一流の疫学者、免疫学者、生物学者など10人以上の科学者たちが、2つの有力な起源説、すなわち「動物から人間への自然感染」および「新型コロナウイルスを含む野生の実験用サンプルの偶発的な流出」についての詳しい調査を求める内容の書簡が学術誌「サイエンス」に掲載された。科学者らは「十分なデータが得られるまでは、これらの仮説を真剣に受け止めるべき」だと主張する。適切な調査とは「透明性があり、客観的で、データを重視し、幅広い専門家が参加し、独立した監督のもとで行われ」可能であれば利害の対立を最小限に抑えたものであるとしている。

「感染症が発生したときには、常にその起源を調査することが重要です」。米ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの感染症内科医で上級研究員のアメシュ・アダルジャ氏はそう述べている。「研究所からの流出説は、動物からの感染説と同様に可能性があり、その起源については徹底的かつ独立した調査が行われるべきだと考えます」

答えの出ていない疑問

6月7日時点で、世界で1億7300万人以上が新型コロナウイルスに感染し、犠牲者は370万人を超えている。その起源は今もわかっていない。

数カ月間にわたるWHOの調査に参加した者を含め、多くの科学者が最も可能性が高いと考えている説は、動物から人間への感染であり、おそらくはコウモリから直接人間に、あるいは中間宿主を介して感染したものと思われる。動物から人間への感染は、多くのウイルスがたどる一般的な経路だ。重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)という少なくとも2種類のコロナウイルスは、動物からの感染で広がった。

一方で、新型コロナウイルスが、武漢ウイルス研究所から流出したものかどうかを調査することには価値があると主張する科学者もいる。同研究所では、10年以上にわたってコウモリのコロナウイルスの研究を行ってきた。

 WHOが任命した科学者と中国当局とが共同で行った調査によるWHOの報告書は、ウイルスが研究所から流出した可能性は「極めて低い」と結論づけた。しかし、WHOの調査チームに対しては、科学者が独立した調査を行うことが許されない、生データへのアクセスが拒否されるといった妨害が行われたため、結論を疑問視する声が出ていた。

3月30日にWHOが報告書を公表した際、同機関のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、さらなる調査研究を求めて、「すべての仮説が検討対象から外れることはない」と述べている。

そして5月11日には、ファウチ氏が政治ニュースサイト「PolitiFact」に対し、ウイルスは動物から人間への感染を通じて発生した可能性が高いとしながらも、「別の原因があった可能性も存在し、それを解明する必要がある」と発言した。

火に油を注いだのは、最近になって判明し、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月23日に最初に報じた内容だった。米諜報(ちょうほう)機関のある報告書によると、19年11月、武漢ウイルス研究所の研究者3人が体調を崩し、病院での治療を求めたという。トランプ政権の末期にも、米国務省は、同研究所の研究者が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と一般的な季節性疾患の両方に一致する症状」で体調を崩していたとの声明を発表していた。

生物兵器では「あり得ない」が

新型コロナウイルスを研究してきた疫学者やウイルス学者の大半は、このウイルスが広がり始めたのは19年11月だと考えている。一方で中国は、最初に症例が確認されたのは19年12月8日だと主張している。

5月27日に北京で行われた記者会見において、中国外務省の趙立堅副報道局長は、米国が「研究所からの流出説をあおっている」と非難し、米国は「起源追跡の研究にほんとうに関心があるのか、それとも注目をそらそうとしているのか」と述べた。趙氏はまた、3人が体調を崩したというWSJの記事も否定している。

一部の保守派の政治家や解説者が研究所流出説を支持してきたのに対し、リベラル派には否定的な意見が多く、特にパンデミック(世界的大流行)の初期にはそうだった。臆測の域を出ない流出説はまた、米中間の緊張の高まりにも寄与してきた。

5月26日に、武漢の研究所と新型コロナ感染症の関連性に関する情報の機密扱いを解除する法案が米上院で可決された際、同法案を立ち上げた共和党のミズーリ州上院議員ジョシュ・ホーリー氏は、「世界は、このパンデミックが武漢研究所の過失によるものかどうかを知る必要がある」と述べ、「1年以上にわたって、武漢ウイルス研究所について質問する人は陰謀論者の烙印(らくいん)を押されてきた」と嘆いてみせた。

 ドナルド・トランプ氏の元通商担当補佐官で対中強硬派のピーター・ナバロ氏は、20年4月、いっさいの証拠を示さずに、新型コロナウイルスは生物兵器として作られた可能性があると主張した。

新型コロナウイルスが生物兵器として作られたという説は「まったくあり得ない」と、米バンダービルト大学医療センターの感染症教授ウィリアム・シャフナー氏は言う。

まず一つには、生物兵器とは敵対する集団を標的とし、自分の集団には影響を与えないものでなくてはならない。ところが新型コロナウイルスは「制御することができず」「自国の人々の間にも広がる」ため、「生物兵器としてはまるで逆効果を招く」ものだと、氏は主張する。

おそらく疑問は解明されない

より妥当な研究所流出説として考えられるのは、武漢研究所が新型コロナウイルスを動物から分離、研究していた際、手違いで流出させてしまったというものだと、科学者たちは言う。「新型コロナウイルスの毒性や感染性の程度を知らず、防護策を講じなかったため、研究所の職員が感染した可能性があります」と言うのは、米マーシー大学の疫学者ロッシ・ハサド氏だ。そこから感染の連鎖が始まり、最終的にパンデミックにつながったというシナリオだ。

ハサド氏はしかし、この研究所流出説は可能性としては「極めて低く」「適切な科学的調査を行ったとしても、おそらくは理論的なものにとどまるでしょう」と付け加えている。

バイデン氏は米情報機関に対し、90日以内(21年8月26日まで)に調査結果を報告するよう命じた。

最も受け入れられている仮説が、動物から人間に感染したというものである理由は明らかだと、米サンディエゴ州立大学の疫学者イーヤル・オレン氏は言う。「はっきりしているのは、新型コロナウイルスの遺伝子配列が、コウモリから見つかるほかのコロナウイルスと似ているということです」

一部の科学者は、明確な結論が得られるかどうかについて今も懐疑的だ。シャフナー氏は言う。「最終的には、新型コロナウイルスの起源についての疑問は解明されないとわたしは考えています」

(文 JILLIAN KRAMER、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年6月9日付]

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