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母の代理で相続手続き 取り寄せた親族戸籍、14通に

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NIKKEI STYLE

記者の母と長年、同居してきた87歳の伯母が昨年急逝し、遺産相続が生じた。手続きには多くの戸籍が要る。折あしく母も入院中で自由に動けない。代わりに記者が戸籍を取ってみた。

おいは伯母の戸籍を簡単に取得できない

主な遺産は預金だ。銀行に電話すると、遺言や相続人について問われた。伯母は母と同居していたが、世帯は分けており、生涯独身で子もいない。遺言もなかった。銀行によると、この場合まず伯母の両親(記者の祖父母)、親も亡くなったなら伯母の兄弟姉妹(記者の母や伯/叔父母)が相続人になり、手続きに必要なのは亡くなった伯母や相続人の「戸籍謄本」などだ。戸籍は日本人の出生から死亡までの親族関係を登録・公証するもの。記者もパスポート申請時に取ったはずだが、方法はうろ覚えだ。

銀行は「まず伯母の本籍地の役所に聞いて」という。住民票を入手し、本籍が東京都港区とわかったので電話すると、なんと記者は伯母の戸籍を取れないという。戸籍は記載された本人やその配偶者のほか、親・子・孫といった「縦」の関係なら比較的簡単に取れる。パスポート申請や婚姻で戸籍が取れない事態が生じないのはそのためだ。一方、兄弟姉妹や伯母といった「横・斜め」の戸籍を取る条件は厳しいらしい。

理解しきれない記者は後日、専門家に聞いた。日本司法書士会連合会の加藤政也常任理事は「横・斜めの戸籍をとるには法的に認められる理由が必要」と教えてくれた。典型例は相続だ。今回相続するのは母や叔母らで、記者は相続人に該当しない。役所に改めて聞くと「母から請求しては」と提案された。入院中でも郵送で請求できるという。母に必要書類の記入を頼み、記者は他の作業に回った。

例えば戸籍取得手数料の支払いだ。役所からは「定額小為替」という耳慣れない方法を指定された。現金を証書に換える送金法だ。「なんだか難しそう」と、郵便局で恐る恐る聞いてみると、意外にあっさり入手できた。この小為替と、母の本人確認書類の写しや返信用封筒などを同封して役所に送った。1週間ほどで伯母の戸籍が返送されてきた。やっと1通目だ。

様式などが変わるとそれ以前の戸籍も必要

実は相続時に「戸籍が1通で済むことはほぼない」(みずほ中央法律事務所の三平聡史弁護士)。引っ越しに伴う転籍や婚姻では別の戸籍が作られるため、新旧を集める。国の法改正などによって戸籍の様式などを変更する「改製」で「必要通数が増える例も多い」(三平氏)。改製は主なものだけで1957年や94年などに行われ、改製後の戸籍には改製以前の離婚歴など、一部の情報が載らない。そのため新旧戸籍が両方必要な場合が多い。

伯母の戸籍も複数通必要で、ほかに祖父母や伯父ら亡くなった相続人の戸籍も要る。その人たちの本籍は見当もつかない。途方に暮れつつ、入手した伯母の戸籍を見ると、港区に来る前の本籍が記載されていた。品川区だ。また電話し、前と同様のやりとりの後、書類を郵送。その前の戸籍を見ると、今度は祖父や伯父の以前の本籍が福島県内にあったと書かれている。また同じ作業を繰り返すと、祖父は福島県の前に山形県内に本籍があったと判明した。

最初は気が遠くなる作業だと思ったが、実は本籍を調べ、役所に書類を送り、とった戸籍から1つ前の本籍を知り、また役所へ――という繰り返しだ。しかも祖父母は「縦」の関係なので、記者自身が請求できた。単純な反復作業と割り切ると、気が少し楽になった。仕事の合間を縫って郵送と返送を繰り返すうちに約9カ月が過ぎたが、全国7市区にまたがる14通の必要戸籍をそろえることができた。

今後は全国で同じような事例が多発しそう

作業を終え、ふと思った。伯母同様、独身で子のない高齢者は少なくない。その親類はある日、記者と同じような作業が求められるのか。加藤氏に尋ねると「可能性は否定できない。相続人の負担を減らすには財産の多寡によらず、誰もが遺言作成を考えざるを得ない」と説明された。

今回、最も古いものは明治時代まで遡った戸籍の束をじっと眺めると、令和の高齢化社会の課題がうっすらにじんでいるような気がした。

◇  ◇  ◇

戸籍取得の簡略化 兄弟など「横・斜めの関係」は引き続き対象外

戸籍取得を進めるさなか「今後は本籍地以外の役所でも戸籍がとれるようになる」と聞いた。調べてみると確かに、全国どこでも戸籍が取得できる新制度を含む法改正が2019年にあり、24年までに施行予定だという。それなら、東京、福島、山形と様々な役所への連絡に忙殺された今回の記者の体験は近く過去の遺物になる。

感動したのもつかの間、改正法をよく読むと新制度の対象となるのは本人・配偶者・親・子など『縦』の戸籍だけであり、相続で『横・斜め』の戸籍をとる時は施行後も本籍で手続きが必要だった。さらに『縦』でも改製前の昔の戸籍は本籍によって新制度対象外となる場合があり得る。新制度は大きな一歩だが、真の意味で戸籍を身近にする改革はまだ始まったばかりといえる。

(堀大介)

[NIKKEIプラス1 2021年6月12日付]

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