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ドラマプロデューサー、今仕事したい監督・脚本家は誰

特集 新ヒットメーカーの条件(6)

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

身近なエンタテインメントとして、定期的にヒット作が誕生するテレビドラマ。現役の制作者は、どんな作り手に注目しているのか? 気鋭のクリエーターを数多く起用してきたテレビ東京プロデューサーの濱谷晃一氏に、これまでに出会った印象深い人や、これから仕事をしてみたいクリエーターについて話を聞いた。

「まず、自分が手掛けた作品からお話ししますと、昨年1月期の『コタキ兄弟と四苦八苦』でご一緒した野木亜紀子さん。日本アカデミー賞最優秀脚本賞も受賞された、今や日本を代表する脚本家ですし、チャンスをいただけて背筋が伸びましたね。おじさん2人のほほ笑ましいコメディとしても楽しめますが、上質な人間ドラマで、後半にかけての展開も素晴らしくて。

その時に演出をお願いしたのが、山下敦弘監督。20代の頃から活躍している憧れの映画監督が、全話撮ってくれるということで、うれしかったです。山下監督って、めちゃくちゃいい人なんですよ。役者さんに対しても『ここは僕もちょっと分かっていないので、話し合いながら探りましょう』みたいな感じ。リハーサルを重ねて、みんなで芝居の正解を見つけ出すような、とても魅力的な演出でした。

『フルーツ宅配便』(2019年)の白石和彌監督も印象に残っています。白石監督は、シーンでの人の配置や動き、それをどうカメラが追うと1番臨場感が出るかといった切り取り方が非常にうまくて。『こうするとテイク数が少なくてもこんなに豊かに撮れるんだ』という発見が多かったです。

それでいて、人間ドラマの本質をポンと見抜く。現場で足してくるちょっとしたウイットやユーモアのキレ味がすごくて、脚本では埋めきれない部分を何倍にも膨らませてくれました。

主演の濱田岳さんが運転する送迎車の中で、気の強いデリヘル嬢役の山下リオさんが、将来の不安を吐露するシーンがあって。そのリハーサルで、白石監督が『後部座席から運転席を蹴ってください』とアドリブを提案したんです。『いい話しちゃったじゃない!』という感じでダーンと蹴るんですけど、マジメな場面に照れ隠しとペーソスが入って、何とも言えない奥行きのあるシーンになりました。

ミニドラマ『きょうの猫村さん』(20年)も特別でした。脚本は『バイプレイヤーズ』でもご一緒しているふじきみつ彦さん。シティボーイズや、ムロツヨシさんの舞台『muro式』のコントなどを書かれている脱力笑いの天才で、ほしよりこさんの原作マンガの世界観を崩さずに、絶妙な構成で書いてくれました。

監督はCM出身の松本佳奈さんで、ビジュアルへのこだわりが強くて、バランス感覚も優れていました。今後のテレビ業界で、需要が増すだろうなと思っています。そして、音楽で坂本龍一さんとご一緒できたのも光栄でした」

松本佳奈
1981年生まれ。ドラマ・映画監督。CMディレクターとしてキャリアをスタート。連ドラ『デザイナー渋井直人の休日』(19年)など。4月期は『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)を担当。

監督や脚本家の才能と組む

今でこそ深夜を中心に続々と新作が誕生しているが、テレ東はドラマ後発局。社員の演出家が1人もいないため、自ずと外部のクリエーターと組むことになるのだという。

「僕が入社当時、やっと2時間サスペンスが立ち上がったくらいで。受け継がれてきたテレビドラマのノウハウみたいなのがないんです。助監督も監督もいません。テレビっぽくない作品が多いのは、そこが関係していると思います。

他局の監督でぜひご一緒してみたい方が2人いて。1人は、TBSの土井裕泰さん。『カルテット』(17年)や映画『罪の声』(20年)、あと、『花束みたいな恋をした』など。ドラマも映画も、土井さんの作品にハズレなし。脚本へのアプローチをどうしているのか、見てみたいです。

もう1人は、NHKの吉田照幸さん。最近だと朝ドラの『エール』(20年)を撮られていて。22年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も担当されますね。狙っている局監督はこのお2人です。もし定年されたら、テレ東でも撮ってほしいです(笑)。

僕はドラマの前に12年間バラエティにいましたが、バラエティは天才が多い。フジテレビの片岡飛鳥さんしかり、TBSの藤井健太郎さんしかり。企画構成から演出、編集まで、全部1人でできちゃう。

一方のドラマプロデューサーは、情熱さえあれば、脚本家や監督の力も借りて、経験に関係なくヒットを飛ばせます。『おっさんずラブ』シリーズ(16年、18年、19年)や1月期の『にじいろカルテ』を手掛けたテレビ朝日の貴島彩理さんや、うちだと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の本間かなみとか、新しい才能がどんどん出てきているのはすごくいいなと思います。

TBSで『カルテット』を作った佐野亜裕美さんが転職して、松たか子さん主演、坂元裕二さん脚本という『カルテット』と同じ座組の作品を、カンテレ(関西テレビ)でやりましたね(4月期『大豆田とわ子と三人の元夫』)。業界的には歯ぎしりしてる人がいっぱいいそうです」

最近は映画監督が連ドラを撮ったり、芸人や劇作家が脚本を担当するケースが増えた。

「僕はいくつか要因があると思います。1つは、配信が強くなったこと。配信で稼げるようになったので、深夜ドラマが増えて、クリエーターで企画を目立たせたり、特徴を打ち出せる面積が広くなったというか。『ドクターX』の枠でシソンヌのじろうさんが書きます、とはならないかもしれないけど(笑)、深夜帯だったらむしろ重宝される。

あとは、役者さんに『このクリエーターとやってみたい!』という意識を持つ人が増えたので、クリエーターのバリューはキャスティングでも影響が大きい。『にじいろカルテ』は岡田惠和さんが書く、それだけで十分魅力的なところ、深川栄洋監督が撮るとなったら、役者さんは『ぜひ出演したい』と思うはず。テレビ局の編成の論理だけでなく、色々な要因でスタッフィングがされている。映画監督は魅力的なカードになります」

映画界の鬼才にも出番が

そんななかで、濱谷氏が注目している人は?

「刑事・医療系が全盛だったドラマ業界が、視聴率だけでなく配信も重視されることで、恋愛ドラマの勢いが高まっています。恋愛ものやヒューマンドラマは、1話完結ではなく、関係性の変化を10話かけて描くので、1人の脚本家が全話を書き切るほうが望ましい。

だから脚本家の存在感がより増しています。1月クールも宮藤官九郎さんや、森下佳子さん、岡田惠和さんら有名脚本家のオリジナル作品が話題を集めました。『コントが始まる』の金子茂樹さんや、朝ドラ『おかえりモネ』(21年)を書かれている安達奈緒子さんは、ここ数年の飛躍が目覚ましく、ぜひご一緒させていただきたい脚本家ですね」

「あとは、小劇場の劇作家さんです。僕は『下北沢ダイハード』(17年)で、劇団ヨーロッパ企画の上田誠さんや、『あなたの番です』(19年)の福原充則さんたち、11人の方とご一緒したことがあって、常に気になる存在です。最近だと、NHKの『ここは今から倫理です。』(1月期)の高羽彩さんは、原作マンガからの脚色がとてもいいなと思いました」

上田誠
1979年生まれ。98年に劇団「ヨーロッパ企画」を結成。すべての本公演の脚本・演出を担当する。劇場アニメ『ペンギン・ハイウェイ』(18年)、映画『前田建設ファンタジー営業部』など。

福原充則
1975年生まれ。02年に「ピチチ5(クインテット)」を旗揚げ。主宰と脚本・演出を務める。連ドラ『視覚探偵 日暮旅人』(15年)など。『あなたの番です』(19年)では、全20話を執筆した。

「実は、大学のサークルの後輩筋に当たる劇作家さんが多くいまして。玉田企画の玉田真也君は、脱力ユーモアが得意な人ですが、独特の作家性があるので『アノニマス』(1月期)に入ってもらいました。松居大悟監督は『バイプレイヤーズ』シリーズ(17年、18年、21年)でご一緒して。徳尾浩司君は『おっさんずラブ』以降、あまりにもビッグなところに行ってしまって……(笑)」

玉田真也
1986年生まれ。14年から「玉田企画」として活動を開始。連ドラ『JOKER×FACE』(19年)で、第8回市川森一脚本賞を受賞。監督・脚本を務めた映画『僕の好きな女の子』(20年)など。

「今後、インディーズと商業の間で撮っていたような映画監督にも、深夜や配信ドラマでガンガン出番が回ってくると思います。テレ東でいうとギャラクシー月間賞を受賞した『直ちゃんは小学三年生』(1月期)の近藤啓介監督は、メジャー映画はまだ撮られていない方。先日テレ東を辞めた先輩の佐久間(宣行)さんがプロデュースする『生きるとか死ぬとか父親とか』(4月期)は、山戸結希監督が撮りました。深夜のバジェットと日数でよく引き受けてもらえたなと思いました(笑)」

近藤啓介
1993年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科出身。映画監督。映画『食べられる男』(16年)、『ウーマンウーマンウーマン』(19年)、連ドラ『女子グルメバーガー部』など。

山戸結希
1989年生まれ。映画監督。大学在学中の12年に『あの娘が海辺で踊ってる』を初監督し、『溺れるナイフ』(16年)でメジャーデビュー。『ホットギミック ガールミーツボーイ』(19年)など。

「すごいなと思ったのは、メ~テレ(名古屋テレビ)が制作した深田晃司監督の連ドラ『本気のしるし』(19年)。放送後に再編集した劇場版がカンヌ国際映画祭で評価されて、そんなケースも出てきたんだと驚きました。

ドラマって、チーフ、セカンド、サードと、3人体制で担当話数を分けて撮ったりするので、チーフは躊躇しても、『セカンドだったら』と受けてもらえることもあるんです。『GIVER 復讐の贈与者』(18年)は、「よく地上波でオファーしたね」と言われる小林勇貴監督のほかに、絶対に民放はやらないと噂されていた小路紘史監督に2話分撮っていただけて、やっぱり素晴らしかった」

小林勇貴
1990年生まれ。映画監督。自主映画『孤高の遠吠』(15年)で評価される。『全員死刑』(17年)で商業作品デビュー。連ドラ『スカム』(19年)、『ホームルーム』(20年)など。

小路紘史
1986年生まれ。映画監督。『ケンとカズ』(16年)が国内の映画祭で数々の賞を受賞。4月期は『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系)を担当。

「ビジネスとして成功すること以外に、ご一緒できるうれしさとか、そういう方たちをフックアップできる喜びも大きいです。『配信や深夜だから成立する』というところで、刺激的な才能がテレビにもどんどん入ってこられたらいいなと思っています」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2021年5月号の記事を再構成]

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