いま思えば、環境のせいにすべきではなかったんです。20代前半の頃は思うようにならなくて当たり前。実力以上の仕事を振られることだって、逆に「修行期間」として簡単な仕事しか回ってこないことだってあります。そうした悩みにぶつかったときは「自分はどうありたいのか」という目標設定をできるかどうかが大切。でも、当時の私にはそういう発想が全くなく、嫌な環境からとりあえず逃げることしか考えていなかったように思います。

グローバルでの活躍を夢見たものの挫折(写真はイメージ=PIXTA)

――ただ、その後はキャリアを重ねる中で、年収を約6倍まで伸ばしました。意識が変わったきっかけは。

転職活動での惨敗です。当時、金融業界に勤めていると、エージェントなどから時々、「ポテンシャル採用(経験は浅くても、潜在能力に期待する採用)という形で、他社の中途採用選考を受けてみないか」と誘われることがありました。言われるままに応募すると、書類選考は通過します。でも、面接でまともな受け答えができませんでした。

ビジョン・目標がないことに気付く

「入社後のキャリアをどうイメージしていますか」という質問にうまく返答できず、「自分にはどうなりたいかというビジョンや目標がなかったんだ」と気付きました。ビジョンや目標を持てていないからこそ、日ごろの業務もただ「こなす」発想で取り組んでしまっていました。だから「私にはこんなスキルや経験があります」と主体的にアピールできる材料もありませんでした。

――惨敗での気付きをどう生かしましたか。

まず、米国留学前の原点に立ち戻りました。「グローバルで活躍し、自らの力で道を切り開いていく女性」。これを目標としてきちんと見据え、「そうなるためには今の自分に何が足りないのか」「どんなスキルや経験を積めば、目標との距離を縮められるのか」という発想で、今やるべきことを明確にしていきました。

具体的には「金融の専門スキル」「英語での実務経験」「マネジメント経験」の3つの軸を意識し、日々の仕事の中で自ら実績をつくりにいくようになりました。

偶然にもその時期に、職場で新しいプロジェクトの話が持ち上がりました。海外オフィスの社員たちとコミュニケーションを取りながら、手探りで進めていかなければならない煩雑な業務。チームの同僚は「あまり気が進まない」という顔をしていました。そこで私は思い切って「やります」と手を挙げました。専門スキルと英語による実務経験の両方を取りに行けると考えたからです。

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