コラボする地元の企業はどう考えている?

実際、ユニクロとのコラボを地元企業はどう考えているのだろうか。常盤堂雷おこし本舗の社長で、老舗飲食店らでつくる会の会長を務める穂刈久米一氏は、「少し前の浅草は新参者を拒む傾向にあったが、今は仲間意識が強い。新しい風に乗り遅れないよう、共存共栄を目指していきたい」と話す。

常盤堂雷おこし本舗も観光客激減のあおりをうけ、売り上げは新型コロナの感染が拡大する前の2~3割に落ち込んでいる。他の老舗も同様だ。広告に資金を投じる余力は無くなりつつあり、話題性のあるユニクロとのコラボは願ってもないチャンスだった。

老舗企業が狙うのは若い世代だ。「これまでの浅草は、いわばシニアの街。コロナでシニア層の外出が減り、相対的に若者が増えている。今回のコラボから地元企業に興味を持ち、実店舗に足を運んでもらう。浅草のイメージを向上し、未来への布石にしたい」(穂刈氏)

すでにコラボの影響が出始めている企業もある。浅草を代表する人力車企業・時代屋は、ユニクロ浅草のロゴが入った法被を着て浅草の街を案内する。同社の鈴木芳昭氏は、「コロナ禍では乗客数が1~2割に激減したが、法被に気が付いて声をかけてくださるお客さまが増えている。浅草が話題になるので、このタイミングで企業の露出を増やしたい」と話す。

時代屋の法被。背中の「ユニクロ浅草」のロゴが話題性抜群

地域密着に目を向けたグローバル企業と、大企業の話題性を生かしたい地元企業。コロナ禍において、個々の企業だけで生き抜くのは難しい。様々な企業が協力することで苦境から脱する、一つのモデルを示している。

(日経トレンディ 寺村貴彰)

[日経クロストレンド 2021年6月3日の記事を再構成]

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