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「千葉茂氏がおいしそうに食べる姿と、見た目のボリューム感や美しさで、さっそくメニューに加え当店の人気メニューになったことはもちろん、あっと言う間に全国的に広がりました」とのことだ。

今ではそのおいしさは日本だけに留まらず、海を越えて知られるようになった。

ジャパニーズカレー=カツカレー

「海外でもカツカレーは大人気です。場所によっては『ジャパニーズカレー』というと、それだけで『カツカレー』を指すことが多くなってきています。つまり、普通のカレーよりもカツカレーが主流なんです」。

そう語るのは、世界約100カ国の現地在住日本人ライターの組織である「海外書き人クラブ」のお世話係を20年以上務め、世界の食事情に詳しいオーストラリア在住の柳沢有紀夫さんだ。

同団体は日本の飲食店経営者向けのウェブサイトに定期的に情報提供しており、柳沢さんのもとには各国に住む日本人ライターやジャーナリストから現地の飲食事情が常に送られてくる。

「カツカレーが人気であることが確認できているのは、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアです」

まずは柳沢さんが住むオーストラリアの事情について聞く。

「オーストラリアでは、ランチタイムのフードコートではマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどのファストフードと並ぶ人気ぶりです。こちらは物価が高いので、フードコートでもドリンク抜きで日本円で1000~1300円くらいしますが、カツカレーだと800円くらいで食べられるのも人気の理由の1つでしょう」

海外における日本食といえば値段が高いイメージがあるが、ボリュームがあってこれだけ安いとなれば人気が出るのも当然だろう。

実際に柳沢さん自身もフードコートでカツカレーを食べることがあるという。味については「日本のカツカレーとほぼ同じで安定のおいしさです」とのこと。

「日本ではカツカレーというとトンカツが主ですが、チキンカツも多いです。ポークよりもチキンのほうがヘルシーというイメージがあるので、むしろチキンカツカレーのほうが人気です」

豚肉ではなくチキンのカツが人気のところも(写真はPIXTA)

チキン人気には「マレーシアや中東からの移民のイスラム教徒などは豚を戒律上食べられない」ことも理由の1つだという。カツのバリエーションは他にも硬めの豆腐を揚げた『トーフカツ』もポピュラーだとか。

「欧米もそうですが、オーストラリアはベジタリアンが多いことが関係していると思います。こちらも何度か食べましたが、『悪くない』という感じ。わたしにとっては、チキンカツやトンカツのものに比べてすごくおいしいというわけでもありませんでした。そもそもどれも『カレーの味』になりますしね。トーフカツはベジタリアンやヴィーガン(卵・乳製品も摂取しない完全菜食主義者)だけでなく、ヘルシー志向の人にも人気があります」

揚げ物+カレーという時点でもはやそこまでヘルシーではない気もするが、とにかく「日本食はヘルシー」というイメージが先行しているのだとか。また日本食のイメージから箸で食べるオーストラリア人が多いそうな。日本人でもカレーを箸で食べるのは難しいと思うのだが……

もう1つ、オーストラリアならではの特徴としてはカレーに「七味唐辛子」をかけることがある。これは自分で辛さを調整できるため。柳沢さんも最初のころは違和感があったというが、「慣れてしまえば合理的に感じます」とのこと。

オーストラリアのブリスベンにあるインドロピリーショッピングセンターのチキンカツカレー。2020年12月撮影。写真提供・柳沢有紀夫

日本では大人用と子ども用のカレーを作っている家庭も少なくないだろう。この「七味で辛さ調整カレー」、採り入れてみるのもいいかもしれない。

次にイギリスのカツカレー事情を見てみよう。

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