ロンドン大学で人類学を学んでいる石崎朱理さんも先日、カツカレーの写真をSNSにあげたばかりだ。
「カレーハウスCoCo壱番屋が開店したときには、大行列ができていました。特にアジア系の友人は好きですね」とコメント。「イギリスでは、インドを植民地化した歴史を背景に、そもそもカレーは国民食のような人気があります。日本のカツカレーの人気が出たのはそういったことも関係しているのかもしれません」と分析している。
ロンドン在住20年の友人からはこんな話も聞いた。
「イギリスでは『カツカレー』は『スシ』と同じくらい一般的に知られる存在ですね。スーパーの総菜コーナーにも当たり前のように売られているほど。ただ、最近はカツカレーと書いてあるのにカツが乗っていなかったり入っていなかったりする弁当やレトルトカレーなんかもあるんですよ」
「#カツカレーポリス」が出動中?
それはちょっと驚きの事実! カツカレーのアイデンティティーは「カツ」にあるわけで、それを失ったらカツカレーではないのではないかと思うのだが……。よくよく聞いてみると、「どうも『カツカレー』という言葉が『ジャパニーズカレー』『和風カレー』という意味になっているみたいです」とのことだった。
このような状況に、イギリス在住の日本人の間で「これはカツカレーじゃない!」とSNS上で「摘発」する「#カツカレーポリス」「#katsucurrypolice」というハッシュタグが一時期流行したほどだ。
ツイッター上にある「摘発されたブツ」の写真を見ると、確かに「これはカツカレーじゃない!」というものがズラリ。「KATSU CURRY」とパッケージに書いてあるポテトチップスやチキンナゲット、サバ缶などがあがっていた。
しかし、ここまで数が多いと、「けしからん!」というよりはイギリスの人はこんなに和風カレーの味を愛しているのかとありがたい気持ちにさえなってくる。
振り返ってみれば、我々日本人だって同じことをしてきたのではなかったか。インド発祥のカレーにさまざまなアレンジを加え、「日本の国民食」にまで育てあげてきたのである。海を渡ったカツカレー、それぞれの国で独自の進化を遂げるのを温かく見守ろうではないか。
(ライター・柏木珠希)