このタイミングで「小容量」を押し出すのはなぜか

小容量シリーズをこのタイミングで押し出すのは、食卓の変化に対応するためだ。「コロナ禍にあって、外食を控えて自宅で食事をとる家庭が増え、食卓を豊かにしたい人が増加している。複数品目がプレートに盛られた一食完結型ではなく、ビュッフェのように複数の味わいを楽しむ傾向に合わせた」(セブン&アイ・ホールディングス)

実際、一膳ごはんと一緒に、総菜の小容量シリーズ「カップデリ」やサラダなどの副食を購入するケースが多いことが分かっている。

買い回りを意識してコンビニの棚を見ると、総菜を選ぶのが楽しくなる。通常サイズの弁当を購入する場合、ハンバーグやチキンといった主食で選び、総菜の実質的な選択肢は少なかった。一膳ごはんの場合は主食を選んだ後に、例えばザーサイかひじきかといった選択ができる。複数買っておいて、少しずつ家族で取り分けることも可能だ。

さらに2点合わせても500~600円程度と、通常サイズの弁当との値段的な差もほぼない。「遅い時間にちょっと食べたい」「通常の弁当では重たい」といったシーンに合わせて選ぶ楽しさがあるぶん、小容量タイプが求められるのも分かる。

レンジで温めた後、つまみの付いた皿を引っ張ると具材がご飯にかかる。手が直接触れず、汚れにくい

セブン‐イレブンは20年11月にカップ入りのパスタ、21年2月には小さいいなりずしなどを詰めたカップずしと、小容量シリーズのラインアップを少しずつ増やしている。今後もこの流れは続き、ニーズを見極めながら商品開発を進めていくという。

ローソンも「小容量」に参戦

時をほぼ同じくして、ローソンも小容量を打ち出す「Choi」シリーズから「Choi Gohan チャーシュー丼」と「Choi Gohan チーズがとろけるキーマカレー」(共に税込み399円)を全国店舗で発売した(21年5月25日から)。ご飯の量を従来の7~8割に抑え、単品でボリューム感が出過ぎないよう工夫。こちらも小容量ニーズを受けて開発された。

ご飯の量が少ないため、通常の弁当と比べて食べ応えに欠けたり物足りなく感じたりする人もいるだろう。それを防ぐため、チャーシュー丼にはごま油を使用して香りを付けたり、カレーでは通常よりもスパイスを利かせたりと、小容量でも満足できるよう工夫を凝らした。

ローソンのChoi Gohan チャーシュー丼(370キロカロリー)

Choiシリーズは20年11月に調理麺でスタートし、今回ご飯メニューへラインアップを拡大した。ローソンによると、「Choiシリーズを通じて、購入者の約7割が20~50代の女性で、特に30~40代から人気。昼や夕方、夜間に揚げ物・サラダ・総菜との買い合わせが多くみられた」。ローソンもニーズを踏まえて、今後の展開を検討していくという。

巣ごもり時間の増加を背景に、食卓では多種の品目を食べる習慣が根付いてきている。東京や大阪などでは21年6月20日まで緊急事態宣言が再延長されたこともあり、小容量タイプのニーズはますます強まるだろう。

注)一膳ごはんの「脂の乗った炙り焼きさば」は東北一部、静岡、沖縄を除く。「鶏とななたまのそぼろ」は九州一部、沖縄を除く。「温玉チャーシュー」は宮城、山形、福島、関東、静岡のみ。「和風カレー」は北海道、東北、関東、山梨、長野、静岡、近畿、中国、四国、九州のみ

(日経トレンディ 寺村貴彰)

[日経クロストレンド 2021年6月4日の記事を再構成]

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