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答えと解説

正解(間違っているもの)は、(4)透明な尿が出る場合は、水分をたくさんとりすぎただけなので気にしなくてよい です。糖尿病や腎臓病などで尿の量が異常に多くなると、尿の色が薄まって無色になることがあります。

尿の色が変わるといえば、よくあるのが血尿です。血尿とは尿の中に血液(赤血球)が含まれている状態のこと。尿を作る「腎臓」、尿をためる「膀胱」、尿の通り道である「尿管・尿道」のどこかに出血の原因となる病気が潜んでいる可能性があります。

血尿の色は、尿に含まれる血液の量に応じて薄いピンク色から真っ赤な鮮血までさまざま。また、血尿が膀胱にたまって時間がたった場合は、褐色だったり黒っぽく見えたりすることも。血尿は色の出方によって発生場所を推測することも可能です。例えば、膀胱よりも上の臓器の血尿では尿がいったん蓄積される間に褐色に変化することが多く、逆に明るい色(ピンク色など)の場合は膀胱より下の血尿と考えられます。

血尿の原因となる主な疾患

(原図:123RF)

痛みなど症状の有無も、病気を判断するうえで重要です。河北総合病院(東京都杉並区)臨床教育・研修部長の林松彦さんは「脇腹が痛んで血尿が出た場合には尿路結石症が考えられます。腎臓の中でできた結石が尿管に流れ出たときに粘膜が傷つき、血尿となるからです。また、血尿が出た後に下腹部や尿道付近が痛む場合には、急性膀胱炎や前立腺炎が疑われます」と解説します。 

注意したいのは、こうした症状がほとんどなく、突然血尿が出た場合。腎臓、膀胱、尿管のがんが疑われるので、「一時的かつわずかな血尿で、自覚症状が全くなくても、すぐに泌尿器科を受診することが大切です」(林さん)

尿の色の変化を見逃さない

それでは、血尿以外の色の変化ではどのようなものがあるでしょうか。基本となる正常な尿の色は、「わずかに茶色がかった淡い黄色です。これが濃くなると、濃い黄色や茶褐色となりますが、これは汗をかいたとき、水分不足が続いたとき、高熱が出たときなどに、尿が濃縮されて起こる状態です」と林さん。

逆に、色のほとんどない透明な尿が出る場合もあります。水分をたくさんとりすぎたときなどに起こりますが、それ以外でも糖尿病や腎臓病などで尿の量が異常に多くなると、色が薄まって無色になります。無色透明の尿が何日も続くようなら、一度内科などで相談しましょう。

水分不足などの原因がないのに、尿が常に濃い黄色や濃い褐色をしている場合は、肝臓の病気が疑われます。肝臓に障害が起こると、黄疸の原因となるビリルビンという胆汁色素が血液中にたくさん流れ出し、それが尿からも排泄されるようになるからです。こうした肝臓疾患による尿の色の変化は、かなり症状が進んだ場合に起こります。

白く濁った尿は、尿道炎、膀胱炎、腎盂(じんう)腎炎などの感染症が疑われます。白くなるのは尿に白血球や細菌が混じるため。排尿時の痛み、発熱、血尿などの症状にも要注意です。

朝起きたらまずトイレという人は多いでしょう。朝いちばんの尿にはさまざまな情報が詰まっているので、尿の色の変化を確認し、病気のサインを早めにキャッチしましょう。

この記事は、「【尿の色が変わった】血尿は膀胱がんのサイン!?」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/18/031200009/062100007/(荒川直樹=科学ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年5月17日付記事を再構成]

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