米国での研究だったと思いますが、給料と幸福感の関係を調べたものがありました。それによると、年俸が8万ドルまでは給料アップとともに幸福感がきれいに高まるのですが、10万ドルまではカーブが緩くなり、10万ドルを超えると幸福感が上がらなくなるというのです。10万ドルまでは生活を良くすることに、増えたお金を使えるので、幸福感も上がるのでしょう。でも、10万ドルを超えると、お金をどう使ったら良いかが分からなくなってしまうようです。少し古い調査なので、今は相場観が違うかもしれませんが、お金は正しく使うことが幸せになるために重要だという基本は変わらないはずです。
「稼ぎ方」より「使い方」を学ぶ
日本ではお金を稼ぐための勉強はあっても、お金の使い方をあまり勉強しませんよね。できれば中学生くらいから、お金の使い方を勉強する機会を持った方がいいと思います。クラスでチームをつくり、100万円あったら何に使うかを考えてみる。「10万円は貯金し、残りは増やすために投資する」というアイデアを出す子もいれば、「いや、半分は投資に振り向けるけど、残りは社会貢献のため寄付する」という意見もあるでしょう。皆で話し合って考えを深め、チームごとに発表してみる。お金についてすごく気づきがあるはずです。そういう教育を受けた人に、官僚になって国のお金を運営してほしいなあ。
社会人になっても同じでしょう。個人個人が空想でもいいので、「これだけお金があったら、どう使おう。どうやって増やそう」などといろいろ考えてみると良いと思います。友人と話し合うのもお勧めです。お金に対するセンスが磨かれるはずです。
松本大
1963年埼玉県生まれ。87年東大法卒、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券を経てゴールドマン・サックス証券でゼネラル・パートナーに就任。99年マネックス設立。2004年マネックス・ビーンズ・ホールディングス(現マネックスグループ)社長、13年6月から会長兼社長。08年から13年まで東京証券取引所の社外取締役、現在は米マスターカードの社外取締役を務める。
1963年埼玉県生まれ。87年東大法卒、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券を経てゴールドマン・サックス証券でゼネラル・パートナーに就任。99年マネックス設立。2004年マネックス・ビーンズ・ホールディングス(現マネックスグループ)社長、13年6月から会長兼社長。08年から13年まで東京証券取引所の社外取締役、現在は米マスターカードの社外取締役を務める。
(笠原昌人)