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ワインも多様性の時代に 地場ブドウ品種のお手ごろ白

エンジョイ・ワイン(39)

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企業の間でダイバーシティー(多様性)への関心が高まっているが、ワインの世界でも同じことがいえる。といっても人材ではなく、ブドウ品種の話だ。ワイン用のブドウ品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどが有名だが、そんな一握りの品種による市場の寡占化が進んだ結果、どのワインも似た味わいになり、多様性が失われたとの指摘がある。その反動からか、最近は個性的な味わいの地場品種がひそかな人気だ。

現在、商業用に栽培されているワイン用ブドウ品種は、世界全体で約1500種類にも及ぶ。古代ギリシャ・ローマの時代からワイン造りが盛んだった欧州では、地方に行けば今も、昔からその土地で栽培されてきたブドウから造られたワインが多い。

だが、日本も含めたワイン新興国と呼ばれる国では、赤ワインならカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、ピノ・ノワール、白ならシャルドネやソーヴィニヨン・ブランといったいわゆる国際品種と呼ばれるブドウ品種から造られたワインに人気が集中しがちだ。

オーストラリアの経済学者、キム・アンダーソンさんらの調査によると、2000年から16年の間に世界的に栽培面積が拡大した品種は、1位のテンプラニーリョを除けば、2~7位をフランス品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、メルロ、ピノ・ノワール)が占めた。栽培面積(2016年)でも、カベルネ・ソーヴィニヨンが1位、メルロが2位となるなど、フランス品種が上位をほぼ独占している。

国際品種の栽培面積が拡大する一方で、その土地固有の地場品種を見直す動きが近年、ワイン愛好家、生産者双方から起きている。一例が、ナチュラルワイン・ブームだ。有機栽培ブドウを使い酸化防止剤無添加のナチュラルワインは、地場品種から造られるものが多く、味わいも非常に個性的。

著名なワインジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソンさんは、「今世紀に入り、世界の関心は、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなど一握りの国際品種から、それらの代わりとなる品種に急速に移りつつある。そして、地場品種であればあるほど、また無名であるほど、関心を集めている」と自身のコラムに書いている。

地場品種は無数にあるが、日本に輸入されていなかったり、すでに人気が出始めて高価だったりするものも多い。比較的手ごろな値段で日本でも手に入れやすく、かつ国際品種とは一味違った味わいのものを、夏向きの白ワインに絞って何本か紹介しよう。

◆「クリオス トロンテス2020」(1408円)

トロンテスはアルゼンチンを代表する品種で、他ではほとんど栽培されていない。グラスに鼻をちょっと近づけただけで、はっきりと感じ取れる香りの強さが特徴だ。

香りは白い花や、レモンなどかんきつ系の果物をイメージさせ、さわやかな酸味と相まって、夏に飲むにはぴったり。この商品を扱っているスーパー大手イオン系の店舗では、品切れになるほどの人気だ。

◆「ピエロパン ソアーヴェ・クラシコ2019」(2145円)

イタリア・ベネト州のワインで、品種はガルガーネガ。イタリアらしく、よく熟した桃や洋ナシ、リンゴの香りの詰まった、ボディーのしっかりしたタイプだ。

酸味とのバランスもよく、魚料理や軽い肉料理、パスタと合わせたくなる。

◆「ミオパッソ・フィアーノ2019」(1903円)

イタリア・シチリア島のワインで、同じイタリアでもこちらは品種がワイン名の一部になっている。フィアーノはロビンソンさん注目の地場品種の1つでもある。

このミオパッソのフィアーノはやや凝縮感に欠けるが、果実味と酸味とほのかに感じる甘みのバランスがよく、飲みやすい。古代ギリシャ人が「エノトリア・テルス」(ワインの大地)と呼んだイタリアは地場品種の宝庫で、この2つ以外にも様々な地場品種が日本に入ってきている。

◆「アーサーメッツ ゲヴュルツトラミネール2018」(1628円)

フランス・アルザス地方のワイン。ゲヴュルツトラミネールは他国でも栽培されており、地場品種と呼ぶには知名度が高いが、それは人気がある証拠でもある。

一番の特徴は他の品種にはないライチの香り。また、スパイスの風味があり、アルコール度数が高めで濃い味の料理にも負けないことから、中華や東南アジア系の料理との相性が抜群だ。

◆「ヒトミワイナリー h3 Caribou 2020 Lot2」(2035円)

滋賀県のヒトミワイナリーがデラウェアから造ったワイン。デラウェアは北米原産で本来、生食用だが、日本では最近、デラウェアのワインが増えている。

特に、このワインのようにナチュラルワイン・スタイルの微発泡性ワインは、フルーティーな味わいとジューシーな食感が持ち味で、とても人気がある。

これまで少数の国際品種による市場の寡占化が進んできたのは、フランスの文化的影響力によるところが大きい。事実、国際品種の大半はフランス品種だ。フランスワインは、遅くとも19世紀には世界的な名声を確立し、フランス料理と共に世界の食文化に大きな影響を与えてきた。

ビジネス的な背景もある。フランス品種は、欧州以外のワイン新興国でワイン造りを始めようとする個人や企業にとって、一定の需要が確実に見込める上、栽培・醸造のノウハウも蓄積されていることから、失敗のリスクが少ない。また、多くのワイナリーを傘下に収め、世界市場を相手にワインを売る大手食品企業からすれば、品種を絞って大量生産するほうが理にかなっている。

ワインのグローバル化とも言えるこうした現象は、ワイン消費が世界的に拡大した1980年代ごろから一段と加速した。その結果、いくつかの地域では、伝統的な地場品種が絶滅の危機にさらされるという事態が起き、消費者は品種の選択肢が減るという副作用も、もたらした。

地場品種の再評価は、行き過ぎたグローバル化の揺り戻しの動きとも見て取れる。しかし、企業におけるダイバーシティーが経営によい効果をもたらすのと同様、ブドウ品種におけるダイバーシティーも、ワインの新たな魅力を発掘し、新型コロナウイルスの影響などで一部に停滞感も見られるワイン市場を再活性化させる起爆剤となる可能性を秘めている。

(ライター 猪瀬聖)

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