VUCAの時代が年功の価値を下げている

経験がさほど役に立たなくなっている背景には、世の中の変動性や不確実性、複雑性、曖昧性が増加していることがあります。いわゆるVUCAの時代と言われる定義です。

この言葉自体が1990年代後半から使われ始め、それとともに年功が否定されてきているのは偶然ではないでしょう。せっかく得た経験も、変化が激しくなると役に立たないことが増えてきます。そうなると常に新しい学びを得、経験し続けなければいけなくなります。知識と経験を更新する作業がずっと続く時代になってしまったわけです。そのことに疲れてしまったとき、誰しもが「働かないおじさん」「仕事ができないおじさん」として否定されてしまう可能性がでてくるのです。

さて、では今20代、30代の人たちはそんな人たちを見て、自分はもちろんそうならない、と安心していられるでしょうか。たしかに50代以上の人たちの給与の高さから、「おじさん」世代が目立ちます。けれども、知識と経験の更新作業を辞めてしまう人は、あらゆる年代に存在しています。

自分は今まさに成果を出している旬だから大丈夫、とおじさんを笑っているあなたが、知識と経験の更新作業をやめてしまったらどうなるでしょう。ほんの3年後に「あの人使えない」と言われてしまうリスクはとても高いのです。

経験を研ぎ澄ますための2つの方法

学ばない人は自己責任、と断ずることは簡単です。

けれども、学ぶためのお金や時間、気力と体力を確保できなくなる可能性は誰にでもあるのです。

たとえば、年を取るとともに社会的責任が増えてゆくと、自分だけのために使えるお金や時間が減ってゆきます。

人間の体力のピークは10代後半から20代前半と言われていますので、社会人生活の中でやはり体力は減ってゆきます。

さらに、学習による学びは、少なからず過去の自分を否定します。新しい知識を得ることは楽しいだけでなく、つらい場合もあるのです。そのことを痛気持ちいい、と感じるには、前提としての気力が必要です。

学び続けることを邪魔する条件は、年齢とともにどんどん増えてゆきます。

そうしてどこかでふと足踏みしてしまったら、そこから再度学び始めるには、多くの阻害要因を超えてゆかなければいけない難関になるのです。

学ばなくてもよい理由はいくらでも出てきます。そうして、気が付けば、それまでの経験の価値をなくしてしまう。そんな状態に陥らないために、お金も時間も体力も気力もそれほど使わない方法はないのでしょうか。

これまでの経験と全く異なる、新しい知識を獲得しなおすには多くのお金と時間、体力、気力を必要とします。けれども、今持っている経験を研ぎ澄ますことなら、難しくはありません。大事なことは日々の習慣にして繰り返し続けることです。

そのための行動は、単純に2つです。

「質問する」ことと「やってみる」ことです。

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経験が成長を邪魔する構造
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