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ビジネス書の棚脇の平台に6面とって並べ、面陳列する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス書の棚脇の平台に6面とって並べ、面陳列する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。一般向けのビジネス書の売れゆきが良くない。特に新刊への反応が鈍い。専門書やロングセラーが上位に並ぶのはビジネスパーソンの人出が十分には戻っていないことを映し出す。そんな中、書店員が注目するのは、ニューノーマル時代の経営戦略を詳述し、経営者や企業人に日本再生の道を提言した一冊だった。

「志」が価値創造の源泉と説く

その本は名和高司『パーパス経営』(東洋経済新報社)。500ページを超えるそのボリュームがひときわ目をひく。著者の名和氏は有力コンサルティングファーム、マッキンゼーのディレクターとして多様な企業の次世代成長戦略、全社構造改革などのプロジェクトに従事してきた戦略コンサルタント。現在は一橋大学ビジネススクール客員教授として教壇に立つ。ボストンコンサルティンググループでもシニアアドバイザーを務めたほか、ファーストリテイリングなど様々な会社の社外取締役を今もいくつも務めるなど、企業戦略のプロ中のプロだ。

そんな著者が21世紀の価値創造の基軸は「ヒト」であり、「その源泉は自分のための欲望ではなく、他者にとって価値のあることをしたいという信念、すなわち志(こころざし=パーパス)だ」と説く。資本主義の先の姿を、志を基軸にした「志本主義(パーパシズム)」と呼び、企業は志本経営をめざせと呼びかける。志本経営の基本理念から始まって、具体的な企業の先進事例を概観、実践する上での課題まで論じたあと、志本経営を主軸にした日本再生の道を提言していく。

著者が嘆くのは、欧米流の経営手法の流行に躍らされて本来の強みを失い迷走する日本企業の姿だ。本来の姿に立ち返った上でその姿を未来に向けてアップデートする狙いで、第1部では、資本主義の終焉(しゅうえん)を論じ、その次に来るものを探り、洋の東西を行き来して志本主義の系譜をまるで思想書のように丁寧にたどる。アダム・スミスからサルトル、カミュ、渋沢栄一、新渡戸稲造、西田幾多郎、鈴木大拙……。こうした思想家たちが持つ現代性、先駆性が志本経営とのつながりで改めて発見されていく。

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