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米中IT大手が独自の半導体チップ開発 AI時代に照準

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パソコンやスマートフォン、サーバーなどコンピューターを動かす主役はCPU(中央演算処理装置)と呼ばれる半導体チップです。米インテルなどの汎用的なチップが広く使われていますが、米中のIT(情報技術)大手を中心に、自社の製品やサービス向けに独自設計チップを開発する動きが本格化してきました。人工知能(AI)の性能向上に必要な学習など膨大な計算に対応するのが目的です。世界の半導体開発勢力図に影響を与える可能性もあります。

米グーグルは5月中旬に開催したオンラインイベントで、独自開発のプロセッサー「TPU」の最新版を発表しました。TPUはAIの機械学習向けに特化したチップで、同社のサーバーに搭載して画像認識や自然言語処理といった計算を担います。グーグルはTPUを約4100個搭載し、スーパーコンピューター並みの性能を持つ計算システムも同時発表しました。

米アップルは昨年11月以降のパソコン新製品に、自社で開発した半導体「M1」を搭載しました。CPUや画像処理プロセッサー(GPU)をひとまとめにし、AIの計算を高速で処理できます。同社のパソコンではこれまで、インテルのCPUを使ってきましたが、自社開発に切り替えました。

このほか、米フェイスブックもAIの自然言語処理に特化したチップの開発に乗り出しました。米国以外でも中国テック大手の百度(バイドゥ)やアリババ集団、日本ではAI開発のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)がそれぞれ専用チップの開発に取り組んでいます。大手企業だけでなくスタートアップ企業にもチップ開発の動きは広がっています。

AIの深層学習などに必要な計算量が年々増大し、汎用的なCPUだけでは処理が追い付かなくなっているのが理由です。企業や大学のAIチップ開発支援を目的に、産業技術総合研究所などが運営する「AIチップ設計拠点」の内山邦男・ラボ長も「CPUの性能向上は物理的な限界に近づいている。もはやCPUだけでは対応できないというのが業界関係者の共通認識」といいます。

現在は世界的な半導体不足で、台湾積体電路製造(TSMC)などファウンドリーと呼ばれる受託生産会社の発言力が強まっています。独自チップの実際の製造はこうしたファウンドリー企業が行うことになるため、その立場が今後一段と強くなることも予想されます。一方で中小企業でも独創的な設計技術を磨くことで勝負できる時代ともいえます。日本もこうした半導体業界の構造変化をみながら戦略を立てる必要があります。

「AIチップ設計拠点」責任者の内山邦男氏「日本も波に乗り遅れるな」

有力IT企業などで独自の半導体チップ開発が相次いでいる背景について、国の「AIチップ設計拠点」の責任者である内山邦男氏(産業技術総合研究所)に聞きました。内山氏は「AIなどを高効率で処理する専用チップへの取り組みは日本企業にも大きなチャンスをもたらす」とみています。

――「GAFA」など半導体の大手ユーザー企業が独自に半導体チップを開発する動きが進んでいます。その理由は何でしょう。

「半導体は一般的な計算を行うCPUと、CPUだけではうまく対応できない計算を担当する専用プロセッサーがせめぎ合うような形で発展してきました。専用プロセッサーは『アクセラレーター』とか『専用ハードウエア』とも呼ばれます。半導体ユーザー企業が独自開発しているのは、主にこうした専用プロセッサーです」

「近年の専用プロセッサーの目的はAIのような膨大な規模の計算を効率よくこなすことです。大手IT企業のクラウドによる検索サービスやインターネット通販、翻訳といったサービスにAIが使われており、そのクオリティーを上げるため、目的にあった独自のプロセッサーを開発しようという流れが2010年代半ばくらいから生まれています」

――そうした計算にCPUだけでは対応できないのでしょうか。

「半導体開発では、18カ月程度で集積度が2倍になって性能が向上するという『ムーアの法則』がありますが、このペースが鈍化しています。近年は1つのチップの中に複数のCPUを使うマルチコアという並列処理の方法で性能を上げてきましたが、この方法もおそらくあと10年くらいで限界に達するといわれています」

「過去にも様々な目的の専用プロセッサーが登場しましたが、これまではムーアの法則に沿ってCPUの性能が向上し、特定目的の計算もこなすようになりました。結局は専用プロセッサーがCPUに駆逐されるというパターンが続いてきたわけです。ただ今度はCPUの性能向上が頭打ちになることで、CPUだけではもう対応しきれないというのが業界の共通認識です」

――米エヌビディア社などの画像処理半導体(GPU)はどのような位置づけになりますか。

「グラフィックプロセッサーという画像処理を主な目的とした専用プロセッサーが1990年代に登場しました。エヌビディアはこれをもっと汎用的に使えるチップにしようと考えGPUを開発しました。やがてAIブームが来て、AIアルゴリズムをGPUで動かすと非常に効率がいいことが分かり、GPUがAI計算のために大量に使われるようになりました。ただグーグルとかアマゾンではGPUを使ってもAI処理には物足りなくなったということで、AI専用のプロセッサーを開発しているわけです」

――エヌビディアは最近CPUへの参入を表明しました。狙いはなんでしょうか。

「エヌビディアはCPU回路を手がける英アーム社を買収しようとしています。CPUはあらゆるデータ処理に必要です。エヌビディアが得意とするGPUをCPUと組み合わせることで、事業分野を拡大することができます。現在は大半がインテルのCPUを使っているデータセンターのサーバーなどの攻略も考えられます」

――インテルは最近発表したデータセンター向けCPUでは、AI計算の性能向上を強調しています。CPUの側からでもAI計算に対応しようということですか。

「CPUの側も、AI計算向けの命令セットなど新しい設計を追加すれば、GPUほどではないにしろAI計算を高速化できるので、そうしたアプローチは当然試みています。またインテルもAIチップの設計を手がける新興企業を買収するなどして、専用プロセッサーの技術も手に入れていると聞いています」

――日本のスーパーコンピューター「富岳」は新開発のCPUを使い、AI関連の計算でも極めて高い性能を実現しました。

「富岳もインテルのアプローチと似たようなところがあり、新開発のCPUにはAI向けの命令セットを入れて性能を上げています。富岳は数値シミュレーションのような科学技術計算分野で世界トップであり、最近注目されている科学技術計算とAIアルゴリズムを組み合わせた処理も、富岳が得意とする分野でしょう。日本は富岳の技術をさらに磨いていくべきだと思います」

――半導体業界での日本の地位低下が指摘されていますが、専用プロセッサーの分野で日本は巻き返しがはかれますか。

「GAFAなどによるクラウドを使ったAI関連のサービスで、日本は出遅れてしまいました。GAFAなどは主にデータセンターで使う、AIチップを開発しています。同じAIチップでもこうしたデータセンター用ではなく、自動車やロボットに搭載したり、ファクトリーオートメーションで使ったりといったデータ処理の末端部分(エッジ)を担う半導体チップでは、日本に大きなチャンスがあると思います」

「我々が運営しているAIチップ設計拠点は、AIチップをはじめとする専用チップを開発する中小企業や新興企業の活動を支援するのが目的です。海外でも新興企業らによるAIチップの開発が活発ですが、この分野はCPUの技術的な行き詰まりとは対照的に急成長が予想されます。この波に乗ることが日本の半導体復活の最後のチャンスになると考えています」

(編集委員 吉川和輝)

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