これらを踏まえると、金融・保険業はそもそも年収水準が高い業界で、転職による年収増が期待でき、特に若手層は金融・保険の経験が無くてもチャレンジできる業界であろうと思われます。これに対し、中高年層は他業界と比較して3割程度とはいえ同業からの転職比率が高くなるため、一定の金融・保険業の専門性が問われるのではないかと想定されます。個別企業ごとの違いはあるにせよ、年収水準がある程度同じと想定される同業からの転職であっても、年収増加率が高い(10年から19年にかけて増加率が上昇している)ということは知見やマネジメント力だけでなく、プラスαが求められることも想定されます。

図5 年齢層別同業からの転職率 出所: 厚生労働省 雇用動向調査より、KEARNEY作成

商業銀行も人材流動性の可能性

金融・保険業で人材流動性が特に高いのは保険業で、次いで貸金・クレジットカード業のようです。銀行や共同組織金融はそこまで人材流動性が高まっていないようです。ただ、商業銀行は保険業や貸金・クレジットカード業などと同様にリテール(個人向け)金融を持っており、既にフィンテックによる変化にさらされている業界だろうと考えられます。伝統的な大手企業が多く、その動きが必ずしも早くなかったかもしれませんが、今後は商業銀行でも人材流動性が高まる可能性があり、金融の世界で新たにキャリア構築や自己実現を考える方にとっては今後さらにチャンスが広がるのではないかと考えられます。

筒井 慎介
2000年、東京大学工学部卒。ジェーシービーを経て、A.T. カーニーに入社。エネルギー、電力、都市ガス、通信業界を中心に、事業戦略、M&A戦略、新規事業立案、シナリオプランニングなどを支援。2013~14年に経済産業省資源エネルギー庁電力改革推進室(課長補佐)に出向。14~16年度まで京都大学 大学院経済学研究科 特任准教授。

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