「自分が店頭に立ち、試食販売をしたことも思い出深いです。店頭販売を頼むと売り上げは上がるのですが、経費がかかる。それなら自分でやってみようと思いました。持ち物はまな板と包丁、塩、コショウと電磁調理器の入ったクーラーボックス。妻に協力してもらって作ったレシピ集も持参しました。あるスーパーでは店舗巡回で訪れた幹部の目に留まり、食事に連れて行ってもらいました。その店では取扱量を増やしてもらえました。懐に飛び込んでいくことを恐れないことです」

ローソンの看板商品は「からあげクン」だが、最近のお薦め品は牛乳、豆腐、食パン。ティラミスやアップルパイなど冷凍スイーツの取り扱いも始めた。「品ぞろえは定番を強くしながら、ちょっとした幸せを意識している」と話す

――海外駐在ではどのようなことに気を配りましたか。

「誘いを断らないことです。私の勤務先は田舎にある豚肉加工会社でした。そこに勤務する従業員はみんな、日本から今度来るのはどういう人物なんだろうと興味を持っています。仕事の顔だけでなく、プライベートの姿も知ってもらおうと考えました。会社の帰りにゴルフをしたり、家族連れで食事をしたり。まずは現地のコミュニティーに飛び込んでいくことを心がけていました。今も変わりません」

1人でできることは限られる

――リーダーとして、どんな会社にしたいと思いますか。

「ローソンには社員、オーナー、スタッフを含め計約18万人の仲間がいます。私自身も18万分の1にすぎません。それに1人でできることは限られています。リーダーとして大切にしたいのは、一緒に働く仲間のいい部分を見つけて磨いていくことです。ダイバーシティー(多様性)の視点です。光と光が反射し、新たな輝きを生み出していく。原石を見つけ、その価値を最大化することが私の役割です。仲間の魅力を知り、自分自身の良さにも気付く。そういう会社にしていきたいです」

(聞き手は宮嶋梓帆)

竹増貞信
1969年大阪府生まれ。1993年大阪大経卒、三菱商事入社。畜産部や社長業務秘書などを経て、2014年ローソン副社長。16年から現職。国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する取り組みを統括するCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)も兼務する。

(上)最後は本部が加盟店を守る コロナ下で現場回り2倍に

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