答えと解説

正解(間違っているもの)は、(3)加齢とともに脳の神経細胞は減り続ける一方だ です。脳の一部では、年齢を重ねても神経細胞が新たにつくられることが分かっています。

「脳の機能は加齢によって衰えるもの」「脳の老化は止められない」。そう思っている人は多いでしょう。その考えは、ある意味では正しいといえるし、間違っているともいえます。

なぜなら、私たちの脳は一定の発達を遂げたあとは、脳細胞が徐々に減り、萎縮していきます。脳の体積も減っていき、機能も低下していきます。こうした加齢による脳の変化は避けられない事実である一方で、脳の機能はいくつになっても高められることが近年分かってきたからです。

具体的には、(1)脳の一部では年齢を重ねても神経細胞が新たにつくられること、そして(2)脳には外部からの刺激によって変化する力があることが分かってきたと、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之さんは言います。

脳は10代で最も大きくなり、その後ゆっくりと老化が始まる

脳の構造は「大脳」「小脳」「脳幹」の3つに大別されます。このうち、全体の80%を占めているのが大脳。大脳はさらに、4つの領域に分かれています。ものを見る視覚機能を司る「後頭葉」、音を聞く聴覚に関連する「側頭葉」、触覚や運動機能を司る「頭頂葉」、そして、思考や判断、感情や理性、コミュニケーションといった高度な働き(高次認知機能)を担う「前頭葉」です。

大脳の発達には、個人差があるものの、成長する順序や時期にはおおよその流れがあり、瀧さんはその様子を、「後ろから発達して、前から壊れる」と表現します。

大脳は後ろから順に発達して、前から壊れ始める。原画=(C)Peter Lamb-123RF、(C)aalbedouin-123RF

生後からすぐに発達するのが、脳の後方に位置する後頭葉と側頭葉。3歳になる頃には、見る・聞くことは、大人と同じレベルまでできるようになります。また、言葉の理解も生後6カ月頃から進んでいきます。3~5歳頃には、脳の中央部の発達に入り、頭頂葉にある感覚野や運動野の成長スピードが加速します。

最後に発達するのが、脳の前方に位置する前頭葉。前頭葉の発達は12歳前後の思春期がピークで、人によっては20歳頃まで成長。この前頭葉が完成すると脳の体積は最も大きくなり、子どもの脳から大人の脳になります。

そして、大人の脳が完成した直後から、脳の老化がゆっくり始まるのです。それも、「最後に発達を終えた前頭葉から、すぐさま萎縮し始めます」(瀧さん)。

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脳にはいくつになっても「変化する力」がある
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