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エントリーシートの書き方は 就活ルールが教える要点

ふつうの大学生のための就活ガイド 第3話

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NIKKEI STYLE

日本大学経済学部・安藤至大教授が、これから就職活動を始める「ふつうの大学生」の相談に乗る、ストーリー形式の連載「ふつうの大学生のための就活ガイド」。第3回では、就活のルールについてイチから考えていきます。(学生も会話もフィクションです)

N大学経済学部3年生の南蒼太(みなみ・そうた)は労働経済論の授業を担当している安藤先生のところへ就活の相談に来ています。前回は、「インターンシップに行くべきか?」という疑問から、インターンのメリットと注意点について聞きました。そして安藤先生は、「相手(企業)の不安要素を解消することが、就活というゲームを攻略するポイント」だと言います。しかし蒼太は「ゲーム」という言葉がピンときていない様子です。

就活という「ゲーム」のルールを知る

安藤先生 真面目に取り組んでいる学生の立場からは、「就活はゲームじゃなくて一生が掛かっているんだ」と感じるかもしれません。

しかし、ここで言うゲームとは遊びという意味ではありません。決められたルールのもとで戦略的に行動を選択する状況のことです。このような言葉の使い方は、経済学部で学ぶ「ゲーム理論」の名称にも登場します。

多くの学生は就活というゲームのルールを明確に意識はせずに手探りで活動を進めてしまいます。その際に、うまくいった先輩の体験談や就活本などを参考にしますが、表面的にまねをして逆効果になったりもするわけです。

蒼太 有名企業から内定を得た先輩の話を聞いても、実際に自分がどうすればいいのかはなかなかわからないですしね。

安藤先生 ルールがわかっていないと、うまくいかなかったときになぜ失敗したのかが分からず不安なままです。例えばサッカーなども、仮にハンドやオフサイドなどの反則を知らないで試合に参加したとすると、審判に笛を吹かれてばかりで、楽しくありませんよね。同様に、就活にも様々なルールがあります。そしてルールは、明示されているものだけでなく、暗黙のものも存在します。

蒼太 うーん、ルールですか。考えたこともありませんでした。なんでちゃんと教えてくれないんですかね……。

安藤先生 そのルールを認識して理解するところも含めて就活というゲームなのかもしれませんね。

ただし大学によって差がありますし、所属しているゼミやサークルによっても違いますが、上級生から様々な情報が伝えられています。「就活に強い」と言われているゼミもありますよね。つまり良い環境にいれば自分で考えなくても自然と必要な情報を得ることができるのです。ここに情報面の格差があります。

蒼太 なんだかズルいようにも感じますが……。

安藤先生 しかし自然と情報が伝わるのを止めることはできません。どんな先輩がどの会社に就職したのか、その際にどのような活動が評価されたのか、いつ頃から取り組みを行っていたのかなどの情報が自然と共有されているわけですから。本人たちはそれが当たり前であり意識していないかもしれませんが、大きなアドバンテージになります。

これに対して、情報を得られない場合には、人柄も良く企業で活躍できそうな学生でも就活のルールを理解するのに手間取ってしまうかもしれません。何しろ自分で発見しなければならないわけですし。

蒼太 サークルには入っていますが、あまり真面目に活動していないので、先輩の就活状況なんて知らないです。

安藤先生 現在は新型コロナウイルス感染症により、大学の講義やサークル活動が制限されていますね。そのため就活について先輩から学ぶといった経路が機能不全になっています。

そこで私としては、大学生の皆さんにはルールをきちんと理解した上で就活に臨んでほしいと考えて、様々な形で情報提供をしていきたいと考えています。

蒼太 ありがとうございます。昨年度は大学に行く機会もほとんどなく、対面なのはゼミくらいでした。今年もオンライン授業が中心で、サークル活動も許可制なのです……。

ところで先生は、先ほど就活というゲームの攻略ポイントは「相手(企業)の不安を取り除く」ことだと話していましたが(前回記事参照)、具体的には何をすればいいのでしょうか?

安藤先生 はい。相手(企業)の不安を取り除くというのは、インターンに限定した話ではありません。そこでこれからは就活全体について考えていきましょう。

就活において南さんは、志望する企業との間でコミュニケーションをとっていく必要があります。まずは自分の存在を知ってもらう必要があるのですが、そのために何をすればいいのでしょうか?

蒼太 えーと、まずはエントリーシート(ES)です。インターンでもESを書かないといけなくて、自己PRとか志望動機について考えないとなーって思っていたところです。これから何度も聞かれるでしょうから、今から準備しとくべきですよねぇ……。

安藤先生 憂鬱そうですね(笑)。

蒼太 どんなことを書けばいいのかがわからなくて。

安藤先生 それが先ほどの攻略ポイントを理解するカギです。

蒼太 「相手(企業)の不安を取り除く」、ですよね?

相手となる企業も不安だから、その不安を解消しないといけない……。うーん、でも具体的にどうすればいいんだろう? てゆーか、企業側の不安って何だろう?

採用担当者の不安とは? 「3年3割」の現実

安藤先生 南さん、良いところに気づきましたね。相手となる「企業側の不安」というのは、具体的には何でしょうか? すでに正社員を1人雇うのには非常にコストがかかるという話はしましたが。

蒼太 えーっと、「良い学生がきてくれるかな」とか、「採用するつもりの人数が確保できるかな」とか、そんな感じでしょうか?

安藤先生 いいですね! 企業の採用担当者の視点で考えることができてきていますね。他にはありませんか?

蒼太 (当たった!)あとは、会社の悪口がネットに書かれていないかなどですか?

安藤先生 まあ、それも心配かもしれませんが、まずは採用そのものについて考えましょう。

企業が感じている不安の1つ目は、南さんが言うように、「良い学生が来てくれるか」です。会社に入ってから、必要な仕事をこなせる能力があるのかが関心事なのです。そして人事担当者としては、新人を配属した部署の上司から「誰があんなの採ったんだ!?」などと言われたくない。まずはこのことを理解しましょう。

蒼太 それはそうかもしれませんね。

安藤先生 企業としては、採用した学生が「きちんと活躍してくれるかどうか」というのが最大の問題なわけです。採用担当から見た「良い学生」「優秀」というのは、学業成績で測るものではなく、仕事を適切にこなせるか、という視点です。また、仕事から何かを学び、成長できる人材か、という点も重要ですね。

他には、どのような点を会社側が不安に思っていると思いますか?

蒼太 うーん、難しいですね。

安藤先生 例えば、南さんが採用試験を受けて、「とても優秀だ」と評価されて「ぜひ一緒に働いてほしい」と向こうが考えたとします。このとき企業側はどのようなことを不安に思うでしょうか?

蒼太 不安もなにも、良い学生と出会えてよかったと思うのでは?

安藤先生 企業側は、「こんなに優秀な学生なら、他の企業からも当然に内定が出るだろうな」と考えるのではないでしょうか。

蒼太 確かに。僕は優秀なんですもんね!

安藤先生 そうですよね(笑)

しかし他の会社からも高く評価される学生であれば、「うちが内定を出したとして、本当に来てくれるのかな」「後になって内定辞退ということにならないかな」という不安を持つことになりませんか?

蒼太 そっか。学生側も企業を選んでいるわけですもんね。「能力が高い学生を採用できるか」だけでなく、「その学生が本当に入社してくれるか」も心配しているわけですね。

安藤先生 採用してから、すぐに辞めてしまわないかというのも懸念事項です。

厚生労働省の調査によると、大卒で就職した後に3年以内に退職してしまう割合は2017年3月に卒業した学生で32.8%となっています。つまり3年以内に、およそ3分の1が辞めてしまうわけです。

そして新卒で採用した後には、当分の間は研修もありますし、利益にはほとんど貢献しない社員に給料を支払っている状態です。一通りの研修を終えて、これから活躍してもらおうという段階で辞められてしまっては、会社としてはたまりません。

蒼太 3割が辞めちゃうのかぁ……、それは確かに企業側も不安だよな。

今の話で、能力が高く、本当に来てくれて、そして辞めない人であることを会社は求めているというのは分かりました。

企業の不安とエントリーシートの関係

安藤先生 もちろんそれだけではないのですが、就職活動について考え始めたばかりの南さんは、まずはその点に注目していれば十分です。

そして就職活動をしていく上で必ず登場するESでの記載内容や面接での質問事項というのも、基本的には、これらの不安を解消するためのものです。

ESに書く内容とはどのようなものか知っていますか?

蒼太 えーと、氏名と住所などの連絡先、あと学歴と所属ゼミなんかを書きます。あと自己PRや志望動機などでしょうか。

安藤先生 そうですね。やはり注目ポイントは、自己PRと志望動機です。

これらは直接的に「自己PRを書いてください」などと記載されているとは限りません。例えば、「学生時代に力を入れたことは」という、いわゆるガクチカなども、自己PRと同じような機能を持っています。また場合によっては、志望動機を伝える欄として利用することもできます。

南さんは「学生のときに力を入れたこと」を教えてほしいと言われたら、どのように答えますか?

蒼太 そうですねえ。力を入れたことは、アルバイトでしょうか。地元から離れて一人暮らしをしているので、親にあまり負担をかけたくないと思ってアルバイトは結構やっています。でも単位は落とさないように頑張ってます!

安藤先生 なるほど、それは大変ですね。頑張ってください。

それでは言い方を変えますね。会社側は、何を知りたくて、この「学生のときに力を入れたこと」という質問をしているのだと思いますか?

蒼太 それは……、その学生がどんな人かを知りたいんですよね?

安藤先生 その通りです。しかし「趣味は何ですか」などではなく「力を入れたこと」を聞いているわけです。それはなぜでしょうか?

ここで重要なのは、相手の質問の意図を理解することです。先ほどの会社側の不安を思い出してください。それは、

この学生は、
(1)会社に入って活躍してくれるだろうか?
(2)内定を辞退しないだろうか?(入社してもすぐに辞めてしまわないか?)

という2点でした。実は、この二つの不安を解消したくて、企業は自己PRと志望動機を書かせているのです。

蒼太 もしかして!

(1)会社に入って活躍してくれるだろうか?=自己PR
(2)内定を辞退しないだろうか?(入社してもすぐに辞めてしまわないか?)=志望動機

とつながっているのでしょうか?

安藤先生 その通りです!

南さん、だいぶ理解が進んできましたね。それでは一度、試しにESを書いてみましょうか。

蒼太 えっ、いま書くんですか?!

(次へ続く)

安藤至大
 日本大学経済学部教授。2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授、日本大学大学院総合科学研究科准教授などを経て、18年より現職。専門は契約理論、労働経済学、法と経済学。厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で公益代表委員などを務める。著書に「これだけは知っておきたい 働き方の教科書」(ちくま新書)など。

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