2021/6/9

蒼太 ありがとうございます。昨年度は大学に行く機会もほとんどなく、対面なのはゼミくらいでした。今年もオンライン授業が中心で、サークル活動も許可制なのです……。

ところで先生は、先ほど就活というゲームの攻略ポイントは「相手(企業)の不安を取り除く」ことだと話していましたが(前回記事参照)、具体的には何をすればいいのでしょうか?

安藤先生 はい。相手(企業)の不安を取り除くというのは、インターンに限定した話ではありません。そこでこれからは就活全体について考えていきましょう。

就活において南さんは、志望する企業との間でコミュニケーションをとっていく必要があります。まずは自分の存在を知ってもらう必要があるのですが、そのために何をすればいいのでしょうか?

蒼太 えーと、まずはエントリーシート(ES)です。インターンでもESを書かないといけなくて、自己PRとか志望動機について考えないとなーって思っていたところです。これから何度も聞かれるでしょうから、今から準備しとくべきですよねぇ……。

インターンシップへの応募でもエントリーシートが必要になることが多い(写真はPIXTA)

安藤先生 憂鬱そうですね(笑)。

蒼太 どんなことを書けばいいのかがわからなくて。

安藤先生 それが先ほどの攻略ポイントを理解するカギです。

蒼太 「相手(企業)の不安を取り除く」、ですよね?

相手となる企業も不安だから、その不安を解消しないといけない……。うーん、でも具体的にどうすればいいんだろう? てゆーか、企業側の不安って何だろう?

採用担当者の不安とは? 「3年3割」の現実

安藤先生 南さん、良いところに気づきましたね。相手となる「企業側の不安」というのは、具体的には何でしょうか? すでに正社員を1人雇うのには非常にコストがかかるという話はしましたが。

蒼太 えーっと、「良い学生がきてくれるかな」とか、「採用するつもりの人数が確保できるかな」とか、そんな感じでしょうか?

安藤先生 いいですね! 企業の採用担当者の視点で考えることができてきていますね。他にはありませんか?

蒼太 (当たった!)あとは、会社の悪口がネットに書かれていないかなどですか?

安藤先生 まあ、それも心配かもしれませんが、まずは採用そのものについて考えましょう。

企業が感じている不安の1つ目は、南さんが言うように、「良い学生が来てくれるか」です。会社に入ってから、必要な仕事をこなせる能力があるのかが関心事なのです。そして人事担当者としては、新人を配属した部署の上司から「誰があんなの採ったんだ!?」などと言われたくない。まずはこのことを理解しましょう。

蒼太 それはそうかもしれませんね。

安藤先生 企業としては、採用した学生が「きちんと活躍してくれるかどうか」というのが最大の問題なわけです。採用担当から見た「良い学生」「優秀」というのは、学業成績で測るものではなく、仕事を適切にこなせるか、という視点です。また、仕事から何かを学び、成長できる人材か、という点も重要ですね。

他には、どのような点を会社側が不安に思っていると思いますか?

蒼太 うーん、難しいですね。

安藤先生 例えば、南さんが採用試験を受けて、「とても優秀だ」と評価されて「ぜひ一緒に働いてほしい」と向こうが考えたとします。このとき企業側はどのようなことを不安に思うでしょうか?

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企業の不安とエントリーシートの関係