新型コロナウイルスの感染拡大防止のため家に籠もる日々が続いても、たまには料理店の上質な食事でハレの気分を味わいたい。コロナ前には楽しめていたあの味を、なんとかこの状況でも再現できないものだろうか。今だからこそ「美食」に恋い焦がれている人たちは少なくないだろう。
実際、いわゆる「お取り寄せグルメ」のサービスは、コロナ下で盛んになってきている。こうした中、飲食店情報サイトを運営するぐるなびは、ミシュランガイド掲載店の料理を取り寄せることができる新サービス「プレミアムミールキット」を開発し、自社ECサイト「ぐるすぐり」の中で7つのメニューの販売を始めた。
今回の協力店は、「ミシュランガイド東京 2021」で二つ星のフランス料理店「ナベノイズム」(浅草)、一つ星の日本料理店「太月」(青山)、同じく一つ星のフランス料理店「ルカンケ」(白金台)の東京都内の3店。取り寄せサイトの「ぐるすぐり」から注文すると、有名シェフがこだわり抜き、完璧に下ごしらえを施した食材と調理方法が届く。
価格は4860円から18900円。数と期間に限りがあり、限定400食で一部のメニューは売り切れている。最終注文は6月22日の午後3時という。
ジョエル・ロブション氏から受け継いだ神髄
それでは、実際にどのような食材が提供されるのか、メニューを見てみよう。まずは、フランス料理店「ナベノイズム」から。
ナベノイズムは、エグゼクティブシェフCEOの渡辺雄一郎氏が2016年に開業した。フランスで修業した渡辺氏は、伝説的な料理人として知られるジョエル・ロブション氏に師事し、「タイユバン・ロブション」創業時の肉部門の責任者を任されるほどになったという。こうしたバックグラウンドもあり、渡辺氏が今回選んだのは、「ローストビーフ」と「ステーキライス」の2種類だ。
届いてからの自宅での調理は簡単至極。例えばローストビーフであれば、パックに入った牛フィレ肉のマリネを、水を張った炊飯器にごろりと入れて加熱し、特製のソースである「ナベノソース」をかけるという手順ですむ。温かいものはもちろん、冷えてもおいしいという。
ローストビーフもステーキライスも、味のポイントとなるのは渡辺氏が開発したオリジナルの万能ステーキソース「ナベノソース」だ。肉はもちろん、魚やライスにもぴったり。しょうゆベースで、余った分は、ほかの料理にもいろいろと使えるとのことで、楽しみが広がりそうだ。
「日本料理を身近なものにしたい」
次は、日本料理の「太月」。主人の望月英雄氏が2013年に開店した。日本料理を身近なものにしたいというのが望月氏の本懐で、ミールキットへの協力に際しても「いま日本人の日本食離れが顕著です。日本料理とはどんなものかということを正しく知っていただき、日本に住む皆さんのもっと身近なものにしたいと思い、作りました」と述べていた。
メニューは「花山椒のすき煮」「三種たれのごま豆腐」「すっぽん鍋」の3種類。それぞれ日本料理の粋が詰まっている。例えば、今回のすき煮に使われる花山椒は、山椒の木に花が咲く直前の2~3日しか収穫できない貴重なもの。一流の料亭などで「食通」がこっそりとたしなむような特別な春の味覚で、いわゆる普通の山椒とは違い、舌への刺激は非常に穏やかで香り豊かだ。