ごま豆腐は、届いてから一手間かける必要がある。奈良県吉野産の本葛粉と、一般的なごま豆腐に使われる量の約3倍分を店で炒って挽いた濃厚なねり胡麻ペースト、天然昆布だしの3種の食材を、鍋の中で自分で練る。できあがったごま豆腐がパックで届くのではない。実際に手を動かして店でのつくりかたを追体験してこそ、日本料理とは何かを知ることができるというコンセプトだ。
自宅でなかなか味わうことのないすっぽん鍋だが、下ごしらえ済みなので安心。一度のコースに料理に応じて5~6種類のだしを使い分けるほど、望月氏はだしを重視する料理人だ。もちろん、このすっぽん鍋のだしも絶品。最後の一滴まで飲み干したい。
日本人向けにフランス料理を軽く仕上げる
さて、3店目は、フランス料理店の「ルカンケ」。20代の後半に約3年間フランスで修業したオーナーシェフの古屋壮一氏が2009年にオープンした。日本人にとってまだヘビーな印象のあるフランス料理をより軽く仕上げるのがモットーという。
古屋氏のチョイスは「オニオングラタンスープ」と「スモークサーモンと野菜のガレット」の2種類をセットしたメニューだ。
オニオングラタンスープは、オープン当初はアラカルトで提供していたが、現在は店のメニューにはないという。コンソメがベースとなっており、つくるのに計3日間もかかるという、恐ろしく手間暇のかかる1品だ。軽い口当たりの中に、モッツァレラを主体にパルミジャーノとチェダーでコクがプラスされている。
フランスではそば粉のガレットを食べることは多々あるというが、日本ではなかなか機会がない。そんなガレットの古屋氏おすすめのおいしい食べ方が、スモークサーモンをメインに野菜をミックスするスモークサーモンと野菜のガレットだ。ガレットの上に、スモークサーモン、キュウリのレムラード(マヨネーズベースのソース)、ラタトゥイユをのせ、自家製ドレッシングをかけて温泉卵をトッピングするという具だくさんのガレット。混ぜながら色々な味を楽しめる「わくわく感」が特長という。こちらもオニオングラタンスープ同様、いまの店のメニューにはないが、ミールキットで復活した。
有名シェフの料理を家でも再現することのできるプレミアムミールキット。食材が届いたら、調理方法の動画を見ながら調理するだけなので簡単だ。ぐるなびの担当者は「日常の中で非日常を味わえるサービス。今回のお店はいずれも東京だが、コロナ下でなかなか東京まで足を運びにくい地方の方でも楽しめるので、ぜひお試しいただきたい」と話している。