ゼネラルマネジャーに戦略を聞く

ここからは日本コカ・コーラコスタディビジョンのゼネラルマネジャーを務める金沢博史氏に今後のブランド戦略について聞いた。

――日本は、中国、マレーシア、インドに続くアジアで4カ国目の進出市場となりました。

「日本は年間のコーヒー消費量で米国に次ぐコーヒー大国です。味覚も優れておりコーヒーのおいしさを理解する成熟した市場だと考えています」

――改めてコスタコーヒーブランドのターゲットを教えてください。

「30~50代のビジネスパーソンで、確かな品質を見極める力を持っている人。新製品やサービスへの感度が高く、納得したものに対価を払うことに価値を感じる人です」

――ターゲット層に訴えるブランド価値とは何でしょう。

「『バリスタ・クオリティ』を掲げており、通常の1.3倍量の豆を使用したリッチな味わいや長時間かけた丁寧な焙煎(ばいせん)による本格的な香りが特徴です。さらに、今回発売した『コスタ ブラック』『コスタ カフェラテ』では、自然環境に配慮した生産過程であることを認める『レインフォレスト・アライアンス認証』を受けた豆だけを使用したり、『コスタ カフェラテ』では国産ミルクを使用したりと、サステナビリティー(持続可能性)の観点でも安心していただけます」

――RTD製品の発売以前から、店舗への卓上マシンの提供など、日本でも順次事業を拡大していますが、欧州のように直営カフェのオープン予定はあるのでしょうか?

「直営カフェは現在検討中ですが、当面は、飲食店などへの卓上マシンの提供を進めていきたいと思います。今は首都圏が中心ですが、21年第2四半期以降、例えば名古屋、大阪、福岡などの主要都市を中心に、コスタコーヒーを飲める場所を順次拡大していければと考えています。そのためにも、『アンバサダー』と呼ぶ専門知識を有した社員がマシン調整やプレス具合、豆の量、ミルク温度に至るまでフォローするなどマンパワーを割いて、飲食店へのサポートに注力しています」

――導入する飲食店はどのように選定するのですか。

「ブランド価値と親和性の高い店をハンティングして営業をかけています」

――例えば、スターバックスは店舗展開が先で、RTD製品などの消費財はブランド認知が進んでから手掛けました。直営店オープンよりも前に消費財を導入することへの勝算は?

「コスタコーヒーではテレビCM、新聞広告、デジタルや店頭プロモーションなど全方位のマーケ施策を一気に仕掛けることで、ブランドの認知度を上げていきます。その上、RTD製品を全国展開すれば、ブランド価値は上がるでしょう。取扱飲食店へ『わざわざ探して行く』という消費者行動につながり、飲食店への送客効果も見込めるのではと考えます」

テレビCM、新聞広告、デジタルや店頭プロモーションなど全方位のマーケ施策を一気に仕掛ける

――マシンを提供する飲食店と直営店のすみ分けは?

「直営店はブランド体験を創出する場であるべきだと考えます。RTD製品同様、店舗でもブランド価値を醸成し、ユーザーとのコミュニケーションを積み重ねることで、その世界観を感じられる飲食店への集客性も向上させられます」

――今後、RTD製品の拡充の予定はありますか。

「例えば、デカフェなど可能性は無限大ですが、まずはコアを育てないとブランドとして長く続きません。そのため、まずは今回発売した2製品でブランドの価値を体現していきたいと思います」

――コスタコーヒーがコカ・コーラ傘下に入った最大のメリットは何でしょう?

「コスタコーヒーはコーヒービジネス能力ではずば抜けていますが、これまでマス広告は打たず店舗がPR媒体でもありました。一方、コカ・コーラ社のマーケティング能力とRTD製品の開発能力そしてコカ・コーラの特徴であるボトラー社(ボトリング販社)のネットワークはグローバル展開において大きな優位性でしょう」

――国内でのブランド展開について、当面のゴールを教えてください。

「まずは誰もがすぐに思いつくようなカフェチェーンの中に入ることです」

(ライター 北川聖恵、写真提供 日本コカ・コーラ)

[日経クロストレンド 2021年5月25日の記事を再構成]

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