新校舎建築委員長でもある小林裕子教頭は「メンテナンスも大変ですし、お金もかかりますし……。プールを壊して別の施設にする学校が多いなかで、もちろんプールは残すという判断をするところが桜蔭らしいなと思います」と目尻を下げる。

新東館には普通教室も設ける(イメージ、学校提供)

一方、齊藤さんは「東館の建て替え期間中の水泳をどうするかが目下の悩みです。どこか近くの施設を借りられればいいのですけれど、いまはコロナもありますから、なかなかお願いしづらいんです」と語る。

新東館は、地下1階・地上5階建て。地下1階に温水プール、1.2階は普通教室、3階に理科特別教室を増設し、4階が体育館になる。体育館脇にはトレーニングルームができる。普通教室にはICT(情報通信技術)機能を充実させ、生徒たちが気軽に使える相談コーナーや多目的教室も設ける。もちろんバリアフリーにもなる。

新校舎建築、新たな100年始まる

桜蔭は、JR水道橋駅前の丘の上にある。公道のT字路を挟んで、本館、西館、東館、講堂が向かい合う。本館は1931年(昭和6年)に建てられたもの。事務所入り口のドアの取っ手や、階段踊り場のステンドグラスの趣などが、当時の様子をいまに伝える。

T字路を挟んで本館(左)、東館(右奥)、講堂(右手前)が向かい合う

規律と協調性をテーマにした現代的なデザインで西館と東館が統一されたうえで、昭和初期の面影を残す不動点としての本館とも調和しながら、桜蔭の新しい100年が始まる。

もともと桜蔭は、女性が大学に通うことすら許されていなかった時代に、男子と同等の教育を行い帝国大学(現在の東京大学など)にだって合格できるほどの学力を身につけさせることを目的として設立された。現在の桜蔭はすでにその目的を達成している。

これからの社会における桜蔭の役割は何か。これからの100年で、桜蔭はどんな教育をしていくのか。

「どのような状況にあっても、きちんと考え、感じることができる生徒を育ててゆくことが学校の役割だと考えています。現在のコロナ禍に端的に示されているように、現実社会においては『解決方法が明確でないこと』『すぐに結論がでないこと』がほとんどではないでしょうか」(齊藤さん、以下同)。

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「大前提が違っているのでは?」と気づく感性
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