SKY-HI オーディションで順位を付ける意味と難しさ連載 SKY-HI「Be myself, for ourselves」(2)

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オーディションを行うとき、合格したかしなかったかを告げるだけなら、順位を公開する必要はない。だが、自身が主催するオーディションで、SKY-HI(日高光啓)はあえて順位を伝えた。そして、それが予想外の事態も引き起こすことになった。彼があえて順位を付けた理由は? そして感じた難しさとは?

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2021年中に新しいボーイズグループの誕生を目指して開催されているオーディション「THE FIRST -BMSG Audition 2021-」。このオーディションを主催する「BMSG」のCEOを務めるのが、AAAでも活躍するSKY-HI(日高光啓)だ。Huluや『スッキリ』(日本テレビ系)、YouTubeなどで配信・放送する「THE FIRST」は、現在候補メンバーを15人に絞り、1カ月の合宿形式による4次審査(クリエイティブ審査)を行っている。

3次審査以降、SKY-HIは参加者の順位を公開しながら、オーディション参加者の評価をしてきた。例えば、30人から15人に絞り込む2日間にわたる3次審査では、1日目の最初と2日目の最後(通過者発表時)に、順位が発表されている。

「僕が全員を見て、僕自身が次に進む子を選ぶわけですから、必ずしも順位付けは必要ではなさそうなものですが、やっぱり本人たちのモチベーションを上げるためには必要だと考えました。ただ、本人たちには、あくまでも今の実力の場所を示すものであって、“暫定”であることは繰り返し伝えました」

しかし、この3次の「順位付け」の方法がオーディション参加者、そしてSKY-HI本人を悩ませることにもなった。

高い評価がプレッシャーに

「正直に言えば、順位が下のほうの子たちのことを考えての順位付けでした。何も指標がないままに、『気づいたら落ちちゃった』では、かわいそうじゃないですか。『今はしんどいかもしれないけど、頑張ってほしい』という気持ちを込めたつもりでした。

ただ、このとき、上のほうの順位の子が、自分の位置をプレッシャーに感じてしまうこともあるとは、全然考えていなかったんです。ある子は、自分の与えられた良い順位を受け止めきれないまま3次審査に臨んでいて、そのことを知ったのは審査が終わってからのことでした。上位にいると伸びる子、上位にいるとプレッシャーを感じる子、下位にいると伸びる子、下位にすると諦めちゃう子……本当に人それぞれなんですね。ただ、それだけでの順位付けは不誠実なので、基本的には見たもので付けています。

とは言え、合宿での4次審査では、これまで以上に僕自身が見るべきポイントも多岐にわたっていて、順位の基準もこれまでのように『歌唱』『ダンス』をいかに解釈して自分なりに落とし込んでいくかといったシンプルなものではなくなりました。

例えば、合宿の最初に行った『クリエイティブ審査』は楽曲を作ることが課題ですが、楽曲の出来で審査するのか、その楽曲をパフォーマンスしているときに見える何かで審査するのか、あるいは楽曲制作をしているときの姿勢で審査するのか。どこを見て順位を付けるのかによって、順位はガラリと変わってきますから」

評価する側のつらさ

「ただ、落とすために評価しているのではなく、伸ばすために評価しています。少しだけ本人の性格を加味して順位を付けたことは、少なくとも今残っているメンバーの状態を見ると、これで良かったと4割くらいは思っています。でも、本当に良かったかどうかわかるのはグループができてからですね。

新しいボーイズグループ結成のためにオーディションを開催しているSKY-HI(日高光啓)(写真:上野裕二)

今も3次審査を見返すのは、本当に嫌なんです。見ているだけでつらいから、見返したくない……。それぞれがそれぞれにすてきな才能を持っているなか、僕が脱落者を決めなくてはいけない作業もつらかったですし。あと、出会って2、3日の子たちで、その日でサヨナラする可能性もあるから、彼らが持っている課題をどう伝えるのが一番いいのかのような迷いもあって。

その迷い自体は正しかったんだけど、後から映像で見ると、番組的にはどうだったのかな、という気持ちはあります。すごくもどかしいです。でも、今はどんどん慣れてきたので、話す順番とかテンポも含めて、もっとうまく番組を見ている人にも伝わりやすくできているような気がします」

SKY-HI(日高光啓)
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動。2005年AAAのメンバーとしてデビュー。同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任。「THE FIRST」のテーマソング『To The First』が配信中。

(ライター 横田直子)

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