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水泳・入江選手 米国で目の当たりにした強さの秘密

五輪メダリストに聞く(下)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

今年4月に開催された競泳日本選手権で、背泳ぎ100mで8連覇、200mは14度目の優勝という偉業を果たした入江陵介選手。国内では敵なしだが、水泳を辞めたいと思うような挫折が幾度もあったという。

水泳よりも「明日どう生きようか」を考えた米国での生活

――前回(「水泳・入江選手 どん底で助けられた北島先輩の言葉」)では、金メダルを期待されたリオデジャネイロ五輪で、100m7位、200m8位という結果に終わり、どん底を味わったお話を伺いました。その後、どのようにして気持ちを切り替えたのでしょうか。

リオデジャネイロ五輪後、2~3カ月ほどゆっくり過ごし、自分の中に未練が残っていることに気づきました。でも、同じ環境でイチから再出発するのは正直、精神的にもキツイと思いました。ずっと指導してくださったコーチもリオ五輪で引退することになっていて、一度、ガラッと環境を変えなければ自分自身も変われないと思ったのです。そこで、拠点を米国に移すことにしました。

――北島康介選手なども米国でトレーニングしていた時期がありましたが、先輩たちの影響もありましたか?

そうですね。先輩たちが米国などの海外に拠点を移して練習されていたことも前例として見てきましたし、米国はずばぬけて水泳が強い国でもあるので、選ぶ決め手になりました。海外で練習したのは合計3年間でしたが、試合があると帰国していたので、1年のうち半分、米国で練習するというスケジュールでした。

――米国でトレーニングをして、自分の中で何が一番変わりましたか?

トレーニング以前に、何もかも初めての生活で。それまで一人暮らしも、車の運転もしたことがなかったので、生活に慣れることでいっぱいいっぱいでした。でも、それがよかったと思います。日本にいると、必然的に水泳のことを考える時間が長くなり、余計なことで悩み出したり、うまくリフレッシュできなかったりします。米国での生活では、水泳よりも「明日どう生きていくか」を考えるほうが長かったので、ネガティブだった自分をうまく切り替えられたのかもしれません。免許を取ったり、車を買ったり、車の保険に入ったりするのも、全部一人でやらなければいけない。英語はあまり話せなかったので最初は随分苦労しましたが、意外と何とかなるんだということが自信になりました。人として歩んでいるなと実感した期間でした。

――英語でコーチとコミュニケーションを取ることは?

水泳で使う単語に関しては、ある程度、理解できたし、雰囲気で言っている内容が分かったので、そんなに苦労しなかったですね。米国のコーチは、よく褒めてくれるイメージがありました。試合前も、常に良い状態だと声をかけてくれて、選手の気持ちを盛り上げるのが上手だなと思いました。

米国の選手が本番で強い理由

――米国で練習し、何を一番学びましたか?

米国の選手を見ていると、オンとオフのメリハリがはっきりしています。練習するときはとことんするし、休みにはしっかり遊ぶ。人生を楽しんでいるなという印象を受けました。うまくガス抜きができていることも、競技力を高める上で必要ではないかと思うようになりました。日本だと、「アスリートはアスリートらしくあれ」という風潮が強く、「アスリートがお酒を飲むなんて」という人もいる。もちろん、競技に専念できる機会をいただいていることはとてもありがたいですが、僕は今まで競技に打ち込みすぎて、ストレスが相当たまっていたのかなとも思いましたね。オンオフのメリハリをつけるべきだと教わりました。

――米国選手の本番の強さの秘密にも気づけたとか。

実は、練習の内容や練習時のタイムだけでいうと、日本人の方が圧倒的に強いです。でも、国際大会の本番になると、彼らはきちんと結果を出す。練習量を減らし、その分練習の質を高める調整方法をテーパーと言いますが、そのテーパーという調整期に入ってから、米国人選手は一気に記録が伸びるんです。

その理由は、ジュニア時代からの教育や環境にあると思います。僕がジュニアだった頃は、テーパーをやることはなく、日々の練習の延長線上で大会に出場していました。しかし、米国ではジュニアの時からテーパーをしっかりやっています。米国は日本よりもジュニアや学生の大会数も多く、大会に出ると一気に記録が伸びる経験を何度もするうちに、「テーパーをやったから自分は強い」というある種の思い込みが生まれるのではないかと思うのです。だからこそ、大舞台でも自信を持って挑めるのだと思います。

人それぞれストロングポイントが違う

――30代に突入し、アスリートとしての加齢との向き合い方、トレーニング方法は何か意識されていますか。

練習量で言えば、学生時代と比べて少しは減ったとは思うのですが、その分、体幹を鍛える筋トレなどの陸上トレーニングを増やしたりしています。水中と陸上トレーニングの割合が何対何と明確には分かりませんが、陸上で必要な筋力をつけて、それを泳ぎに生かすといった意識づけを大切にしています。

――背泳選手は、特にどのような部位を重点的に鍛えたり、柔軟性を高めたりするのでしょう。

水泳は全身運動なので、背泳ぎだからここを鍛えればいいというものではないと思っています。それに、上半身が強い選手、下半身が強い選手など人それぞれストロングポイントが異なるので、この部位を鍛えれば100%強くなるという理論も、水泳には当てはまらない。僕は肩回りが柔らかいですが、そうでもない背泳選手もいますから。僕自身の話で言えば、体幹トレーニングを今見直していて、体幹の強さで泳ぎのブレが防げるなど、体の軸となるお腹や腰回りを鍛える重要性を実感しています。トレーナーと相談しながらさらに強化していくつもりです。

――リカバリーに関しては?

もちろん加齢とともに回復に時間がかかるので、昔よりはリカバリーに対する意識も高くなりました。自分だけの感覚ではなく、マッサージを受けて、どの部位が張っていて、凝っているのかというトレーナーさんによる客観的な評価も大切にしています。

リカバリーに大切な睡眠や食事については、枕などのアイテムにはこだわりがないですが、極力8時間寝るようにしています。食事に関しては、今は寮にいるので、栄養士さんの監修のもと、バランスがいいものを3食しっかり食べています。あまり特別なことはしていません。

ちなみに、ゲン担ぎとして試合前に何かを必ず食べるというのもしません。海外での大会が多いので、必ずしも希望の食事が取れるわけではない。「これを食べなきゃ」というふうに思わないようにしているんです。

最後の五輪かもしれないので後悔したくない

――東京五輪では競泳の最年長選手として、キャプテンを務められます。どんなリーダー像で挑まれますか。

選考会が終わって最年長であることは分かっていたので、選ばれたから急にキャプテンへのスイッチが入ったわけではありません。最年長として過去に3大会、五輪を経験している身として、若い選手たちに何ができるんだろうと常日ごろ考えていましたし。チームスポーツではないので、キャプテンだからといって、これをしなければいけないということはありませんが、チーム全体を見渡して、必要なときは選手に声をかけるなど、先輩が僕にしてくださったことをしていこうと思っています。また、個人競技であるがゆえに、一人ひとりが自由に動きすぎてしまうとチームは崩壊するので、応援の方法なども含め、ある程度のルールを選手たちで話し合います。そこはキャプテン主導でまとめていこうかと。高校生も入ったフレッシュなチームなので、とても楽しみです。

――入江選手にとって、東京五輪はどういう位置付けですか? 目標は?

状況的に手放しで盛り上がれないし、開催反対の方々もたくさんいらっしゃいます。そんな中でもし開催されるとしたら、やはり選ばれた自分は結果を出すことが大事だと思います。もしかしたら最後の五輪かもしれません。なので、後悔しないような泳ぎをしたい。もちろん、僕だけでなく、多くの選手たちが頑張る姿を見ていただいて、やっぱり開催してよかったと思ってもらえる五輪になればいいと思っています。

海外でも選考会が終わった国が増えてきて、五輪に向けて調子が上がってきている選手の姿が見えてくると、モチベーションが上がってきます。4月の選考会以降、レースで得た課題や、筋力の発揮の仕方や体の左右差をなくしていくことをトレーナーさんと相談しながら突き詰めています。万全な最終調整をして、最もいい状態で本番を迎えたいです。

(ライター 高島三幸、写真 厚地健太郎)

入江陵介選手
1990年大阪府生まれ。0歳から水泳を始める。2008年北京五輪で200m背泳ぎ5位入賞。09年背泳ぎ100m、200mで日本記録を樹立。12年近畿大学卒業の年に、ロンドン五輪で背泳ぎ200mと4×100mメドレーリレーで銀メダル、背泳ぎ100mで銅メダルを獲得。16年リオデジャネイロ五輪で100m7位、200m8位入賞。東京五輪代表に内定し、競泳チームの主将を務める。イトマン東進所属。著書に『それでも、僕は泳ぎ続ける。~心を腐らせない54の習慣~』(KADOKAWA)。

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