地方転職でも、半数以上は県外転居せず

―――ビジネスパーソンにとってのメリットは何でしょうか?

「本事業で対象としている仕事は、大企業の“歯車の一部”ではなく、企業の心臓部で働く経験ができるものばかりです。仕事のやりがいや新しいチャレンジを求めている方に適しているかと思います。人生100年時代になり、働き方やキャリアを見直す機運が高まっています。従来の“就社”ではなく自分自身でキャリアをデザインしたい人にとっては、地方の中小企業の仕事に携わって視野を広げることでキャリアの幅を広げられる利点があります」

「案件によっては、必ずしも転居しなくてもチャレンジできる点も魅力です。地方転職の大きなハードルとして家族の反対がありますが、これまでの成約事例のうち半数以上が県外への転居を伴っていません。都市部にいながら、自分のスキルを新たな分野で生かしたり、違う環境に身を置いて刺激を受けたりすることができます」

――最大の課題は何ですか?

「転職者のマインドの持ち方、具体的には“上から目線”問題です。経験やスキルを評価されて入社しても、大手企業、都市部の企業での経験を高飛車に振りかざして働くようでは、成果を上げることはできません。地方企業では、専門的な人材を中途で採用することはまだ一般的ではなく、企業側も『社風に合うか』などそれなりの不安がありつつも覚悟を決めて採用しているとも言えます。『郷に入っては郷に従え』の精神で自分から丁寧にコミュニケーションをとり、会社が抱える課題の解決に向かっていく姿勢を見せることが大切だと思います」

笹尾 一洋 内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局 企画官兼内閣府本府 地方創生推進室企画官 1999年慶大経卒 政府系金融機関にて、法人融資などを担当。官庁(経済産業省、金融庁)出向、経営企画・ALM業務を経験。金融庁では、中小企業金融、REVIC 監督、顧客本位の業務運営、有価証券運用等モニタリング、仮想通貨交換業者監督等に従事後、前任は監督局銀行第二課に在籍。2019年7月より現職。

(日経転職版・編集部 木村茉莉子)

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