「一方、コロナを機に企業側も生産性向上や新規顧客の開拓といった課題解決に取り組む必要性が一段と増し、『優秀な外部人材の力を借りて“攻めの経営”に転じたい』と考える経営者が大幅に増えました。特に副業人材については、企業側の固定費がかからず採用を決断しやすい、という大きなメリットもあります。コロナ禍で双方のニーズが合致し、人材流動化がこれまでになく高まっていると言えるでしょう」

DX人材は地方もモテモテ、岐阜・静岡の製造業で高いニーズ

――地方企業で特に求められる人材は。

「能力や経験といった意味では、最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)人材が圧倒的に多いです。社内の業務効率化や消費者向けビジネスでのネット販売の拡大など、地方企業が『攻め』に転じるためにDXが不可欠になっています。生産管理を経験した工場長や営業経験者を求める声も目立ちます。成約案件ベースでは、30代が最も多く30%強、20~40代で全体の75%を超えています。シニア世代のセカンドキャリア探しというよりも『現役世代』がUターンを模索したり、仕事のやりがいを求めて転職したりするケースが多い印象です」

「プロ人材を受け入れる企業の業種は製造業が約6割を占め、受け入れ実績で上位の自治体は製造業が盛んな岐阜県と静岡県です。以下、宮城県、大阪府、滋賀県、広島県、富山県、長野県と続きます。高い実績をあげている地域は、拠点のマネージャーが地域の経済界とよく連携して人材のマッチングを進めているという特徴もあります」

――具体的にどのようなケースがありましたか?

「関東の電気製品の輸入販売会社に勤めていた40代男性は、北海道の電気機器企業へUターン転職しました。『いつか地元でものづくりに携わりたい』という思いを抱いていたそうです。会社側は技術者の高齢化が課題になっていたようで技術系部門の中核人材としての活躍を期待しての採用でした。また、東京のゲーム会社で働いていた30代の女性が家庭の都合で九州へ引っ越すことになり、福岡県のゲーム会社でチームリーダーとして採用されたという事例もありました。最近増えている副業では、東京のIT企業の子会社社長だった30代の男性が、兵庫県のかばんメーカーのECサイトの構築に携わったというケースがあり、週1回の打合せにリモートで参加し、わずか3カ月でサイトの構築にこぎつけたようです」

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地方転職でも、半数以上は県外転居せず
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