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2021/6/4

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泉さん主演のテレビドラマで、江口さんが短いセリフをなかなか覚えられずにNGを連発した際、泉さんが激怒したという過去を明かしていました。江口さんは小気味良い語り口でトークを展開しながら、「あの時に怒られてよかった」と泉さんに感謝しつつも、「表参道で1年後に見かけましたけど、逃げました」とオチをつけ、スタジオを沸かせていました。

この番組の放送後、ツイッターでは「大物女優とのトラウマエピソードも正直に話すところが江口さんらしい」「人に媚(こ)びず、人目を気にしないところが好き」などといった、我が道を堂々と進む江口さんを評価する声が上がっていました。

この「人に媚びず、人目を気にしない」というのはなかなかできるものではありません。特に女性にとって、人目を気にすることなく進み続ける我が道はとても険しいものです。

その険しさは、これまでの時代における女性の生き方そのものに表れています。昭和の時代は、女性は主婦として家庭を守るのが普通であり、その道から外れると「周りから何を言われるかわからない」という風潮がありました。

それが平成の時代になると変わり始め、主婦であり仕事もするワーキングマザーこそが素晴らしいという価値観が台頭してきます。こうなると、主婦に徹している女性も、家庭を持たず仕事にまい進する女性も、なんとなく肩身の狭い思いをするようになります。

平成には「おひとりさま」というワードが流行しましたが、その言葉には「孤独」や「負け犬」といったニュアンスも加わり、我が道を行くソロの険しさばかりが強調されていました。

1人でもいいし、誰かといるのもいい

令和に入り、「ソロ活」という言葉が登場しました。『ソロ活女子のススメ』とのタイトルにある通り、ソロで活動することをススメてくれることで、「1人でいるのも楽しめる。誰かといるのもすてきなこと。どちらを選択するのも有り。だからこそ、より自由にこの先の道を歩むことができる」。そんなメッセージが世の中に響き始めています。

そしてこのメッセージは、江口さんが演じるからこそ、より説得力が増しているのではないでしょうか。我が道を地で行きながら、同時期に与えられた多様な役割をしっかりと果たし続けることで、自分らしい居場所を築き上げてきたからです。

同時並行で複数の業務や役割を果たせるスキルは、どのような業界、仕事においても求められるものです。チームや組織においては、誰もが誰かの先輩、後輩であり、上司あるいは部下です。取引先との間柄も、顧客であったり下請けであったり、相手との関係性のなかで様々な役割を求められるものです。

そうした多様な役割をしっかり果たせているからこそ、我が道を歩みながら自分なりの居場所を築くことができ、自信を得ることができるのです。そんな女優道を体現してくれる江口さんのように、前進していきたいと思う女性たちはおそらく数多くいることでしょう。

我が道を歩み続ける江口のりこさんの姿を追いながら、自身も多様な役割を果たしつつ、より自由に歩んでいける――。そんな女性たちが増え、おのおのに自分なりの居場所を築いていけるような、令和の時代らしい多様性あふれる社会に期待したいと思います。

鈴木ともみ
 経済キャスター。国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。JazzEMPアンバサダー、日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。地上波初の株式市況中継番組を始め、国際金融都市構想に関する情報番組『Tokyo Financial Street』(STOCKVOICE TV)キャスターを務めるなど、テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへ出演。雑誌やニュースサイトにてコラムを連載。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。
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