日経クロストレンド

これらの情報をCMでストレートに伝えず、あえておぎやはぎに「いじらせた」のは、「企業メッセージは聞こえのいいことを言いがちだが、それだと企業の自己アピールにしか捉えられないから」と日清食品ホールディングスの米山慎一郎宣伝部長は話す。

「DO IT NOW! エコカップ篇」でも、カップヌードルのカップは主に紙製で、さらに地球に優しい植物由来のバイオマスECOカップへと進化中であることを伝えるため、あえて小木に「またまた~、発泡スチロールでしょ?」と突っ込ませる。

品質に不安を抱いている消費者の代表としておぎやはぎに疑問を投げかけさせることで、消費者が「自分ごと」として受け止められるのだ。

「カップヌードル DO IT NOW!」は、カップヌードルを通して、地球と人の未来のためにすべきこと、できることに今すぐ取り組んでいくプロジェクトだ。「よくある10年後の未来のために、というのは日清食品らしくない。今できることは今やろう、できることはすぐにやっていこう、という思いを込めたタグライン」(日清食品ホールディングス)

プロジェクト自体は19年にスタートしたが、CMで伝えるのは今回が初めて。しかも、いつものカップヌードルらしからぬテイストだ。どのような狙いがあるのだろうか。

おぎやはぎの力の抜けたやり取りは台本に加え、アドリブも存分に含まれている。工場スタッフはオーディションで「まじめで控えめ、かつ芯がしっかりしている」と選ばれた実際の社員だ

1回の視聴で最大効果を狙う

「確かに、一般的な商品の広告は、ブランドの刷り込みが主な目的ですので、エッジの効いた企画や映像で、ともすれば『カオス』に映ることもあります」と米山部長。

「カップヌードルのコミュニケーションターゲットは15~24歳の男女。若い世代の興味を喚起し、自分たちに向けたメッセージだと感じてもらうには、私のような上の世代の人間にとって意味不明なくらいがちょうどいいかもしれない」(米山部長)

「どんなCMでも、『有効フリークエンシー1』(1回見ればCMを認知)を目指して制作している」(米山部長)という。今回の「DO IT NOW!」シリーズも有効フリークエンシー1の目標は変わらない。つまり、見る人の興味を喚起するCMとしての強さは必要だが、企業メッセージという性質上、とがった表現よりは、メッセージが視聴者にすんなり入り込むことに軸足を置いた。

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ファミリー狙い、長期間放送する