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使う塩で「梅干し」もいい塩梅 水塩漬けにも挑戦を

魅惑のソルトワールド(54)

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NIKKEI STYLE

梅のシーズンがやってきた。スーパーの店頭には新鮮な青梅や梅酒用の酒瓶、氷砂糖が並び、もう少しすると今度は芳醇(ほうじゅん)な香りを放つ完熟梅が店頭を黄色く染める。初夏の訪れを告げる風物詩だ。

梅干し、梅酒、梅ジャム、梅味噌……。梅を使って仕込む作業は「梅仕事」と呼ばれる。筆者も毎年、完熟した南高梅(和歌山県産)を10種類強の特徴の異なる塩で漬けて、梅干しにしている。使う塩以外、すべて同じ条件にしているが、数年繰り返すうちに、塩によって梅干しの出来上がりが大きく異なることに気がついた。

化学的エビデンスはなく、あくまで経験則での話になるが、以下にその傾向をまとめてみた。せっかく自宅で梅干し作りに精を出すなら、塩にもこだわり、自分好みの「逸品」に仕上げるのも一興ではないだろうか。

▼ナトリウム純度の高い塩で仕込んだ場合(例:食塩=日本海水)

浸透脱水作用が強く働くためか、梅酢があがってくるのが他の塩より早い。出来上がった梅干しは、突き刺さるようなしょっぱさがあり、その分あまり酸味を感じない。皮はぎゅっと硬めで実が引き締まった梅干しになった。乾燥が進むと梅干しが塩を吹き、白くなる。

▼マグネシウム構成比の高い塩で仕込んだ場合(例:粟国の塩=沖縄海塩研究所)

比較的ゆっくりと梅酢があがってくる。この手法で作る梅干しは、しょっぱさと酸味がまろやかで、うまみを強く感じる。皮が柔らかくなり、干す時に気をつけないと破れてしまう。乾燥が進んでも塩を吹かず、柔らかさが持続する。

▼カルシウムの多い塩で仕込んだ場合(例:うるわしの花塩=沖縄北谷自然海塩)

浸透脱水が遅く、なかなか梅酢があがってこない。出来上がった梅干しはしょっぱさがまろやかで、甘味が強い印象だ。実に水分が残るためジューシーだが、皮はかなりしっかりとした硬さ。小梅でカリカリ梅を仕込むのに向いていると思う。

▼海水の成分ほぼそのままの塩で仕込んだ場合(例:雪塩=パラダイスプラン)

パウダー状の塩のため、梅への浸透は早いだろうと予想したが、最初に出てきた梅酢でドロドロに溶け、塩がペースト状になった後の梅酢のあがりがかなり遅い。塩そのもののナトリウム構成比も低いため、梅酢から顔を出していた部分がカビてしまった。完成した梅干しは甘味が強くまろやかで、ほどよい酸味を感じる。皮も実もほどよく柔らかい。

▼全体のミネラルバランスがよい塩で仕込んだ場合(例:わじまの海塩=美味と健康)

梅酢があがってくるのは比較的早く、しょっぱさと酸味のバランス感など全体の調和が取れている。塩に含まれるナトリウムの量を知るには、パッケージの裏側に記載がある栄養成分表示を見るといい。

食塩相当量はナトリウム量から導き出される数値なので、食塩相当量が高ければナトリウムが多く、しょっぱさが強いということになる。逆に数値が低ければナトリウムが少ないため、その分マグネシウムやカリウム、カルシウムなどのミネラルが多く含まれていることになる。どんな梅干しに仕上げたいかで、塩を選ぶようにしてほしい。

梅干し作りは楽しいが、そこそこ時間がかかる。塩漬けにして1~2週間待ち、それから3~4日天日干ししないといけない。なんだかんだと3週間ほど待たなくてはならない。そこで、もう少し早く食べられる、塩を使った梅仕事をもう一つご紹介しよう。「梅の水塩漬け」だ。

水塩については以前に「素材のうまみ引き出す『水塩』 現代版に進化し復活」でご紹介したが、簡単に言うと、塩が出来始める直前まで濃縮した海水のことだ。和食の世界では昔から使われてきた調味料で、海水中に含まれるミネラルをほぼそのまま残しているため、しょっぱさ以外にも複雑なうまみや味わいが感じられる液体だ。塩分濃度はメーカーによって異なるが、だいたい18~25%前後で、梅を漬けこむのに実にちょうど良い。

作り方はいたってシンプル。消毒した瓶に水塩を入れて、おへそをとった完熟梅を入れるだけ。そのまま放置し、梅が完全に沈んだら、食べることができる。早くて1週間、長くても2週間待てばOKだ。

梅そのものに浸透する塩分濃度は9~10%程度なので、梅干しほどしょっぱくなく食べやすい。皮はカリカリ梅と梅干しの中間のような感じで、比較的しっかりと食感が残っている。梅干しとはまた違った雰囲気で食べられるので、ぜひ試してみてほしい。

梅干しを作る時と同様に、塩水に染み出た梅のエキスで梅酢も出来上がる。それを煮詰めて結晶させて梅塩を作ってもいいし、ショウガの千切りを付けておくと、おいしい紅ショウガの出来上がりだ。

梅干しの手作りキット「梅子」を販売しているBambooCut(バンブーカット、東京都台東区)の竹内順平社長によれば、「今年は例年に比べて売れ行き(予約販売数)が2倍近い」とのこと。新型コロナウイルス感染症の影響で、「おうち時間」が増え、「梅仕事」に挑戦する人が増えているからに違いない。

梅は古くから健康的な食べ物として親しまれてきた。日本に現存する最古の医学書とされる「医心方」によれば、梅干しには熱冷ましや吐き気止め、口を潤す、下痢止めの作用があると記されており、平安時代にはすでに梅干しが作られていたらしい。梅そのものにだけでなく、それを塩で漬けた梅干しは、アルカリ性食品の代表格でもある。夏場に摂取したいナトリウムも多く含んでいる。

梅干し作りはそこそこ手間がかかる。だが、「自分の手で育てている」という感覚が生まれてくる。「手前味噌」ならぬ「手前梅」というのか、出来上がった梅干しにはその出来栄えはさておき、いとおしさが自然と募る。今年、時間に余裕がありそうだという人は、ぜひ梅仕事にチャレンジしてみてほしい。もちろんその時には、塩にもぜひ、こだわって。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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