
梅干しを作る時と同様に、塩水に染み出た梅のエキスで梅酢も出来上がる。それを煮詰めて結晶させて梅塩を作ってもいいし、ショウガの千切りを付けておくと、おいしい紅ショウガの出来上がりだ。
梅干しの手作りキット「梅子」を販売しているBambooCut(バンブーカット、東京都台東区)の竹内順平社長によれば、「今年は例年に比べて売れ行き(予約販売数)が2倍近い」とのこと。新型コロナウイルス感染症の影響で、「おうち時間」が増え、「梅仕事」に挑戦する人が増えているからに違いない。
梅は古くから健康的な食べ物として親しまれてきた。日本に現存する最古の医学書とされる「医心方」によれば、梅干しには熱冷ましや吐き気止め、口を潤す、下痢止めの作用があると記されており、平安時代にはすでに梅干しが作られていたらしい。梅そのものにだけでなく、それを塩で漬けた梅干しは、アルカリ性食品の代表格でもある。夏場に摂取したいナトリウムも多く含んでいる。
梅干し作りはそこそこ手間がかかる。だが、「自分の手で育てている」という感覚が生まれてくる。「手前味噌」ならぬ「手前梅」というのか、出来上がった梅干しにはその出来栄えはさておき、いとおしさが自然と募る。今年、時間に余裕がありそうだという人は、ぜひ梅仕事にチャレンジしてみてほしい。もちろんその時には、塩にもぜひ、こだわって。
(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)