日経クロストレンド

思いがけず、ヘルシー志向の人にもヒット

実は狙ったわけではなかったが、スイーツとしてはカロリーが控えめなのも奏功した。ローソンのデザート類は、200~300キロカロリーのラインアップが中心。それに対し、ドライフルーツとナッツのカッサータ(1個27グラム)は84キロカロリー、ティラミス(1個39グラム)は116キロカロリー、アップルパイ(1個52グラム)は155キロカロリー。カロリーを気にする人でも購入しやすくなっている。

マスカルポーネを使用した「ティラミス」

「長時間保存したい」「解凍する時間は無駄」といった効率を重視する層に加え、「カロリーを抑えたい」という健康志向の層にも思いがけず刺さった格好だ。

解凍いらずの冷凍スイーツに目を付けたきっかけは、コロナ禍で冷凍食品の売り上げが伸びていたことだった。21年4月の1店舗当たりの冷凍食品販売高は、新型コロナウイルス感染症拡大前の19年4月と比べて約2割伸長。特に総菜系や冷凍フルーツの伸びが顕著だったという。そこに、冷凍スイーツ市場拡大の可能性を見いだした。

解凍いらずということではアイスクリームもあるが、「利用シーンに大きな違いはありません。ただ、アイスが溶けてしまうのに対し、冷凍スイーツはゆっくりと落ち着いて食べられます。気分によって食べ分けられるのではないでしょうか」(ローソン)。

冷凍スイーツとしては珍しい「アップルパイ」

実際に食べてみると、アイスケーキの感覚に近い。ファミリーレストランで注文するとクリームがカチカチに固まっていてすぐに食べられないことがあるが、そんな「お預け」をされることはない。適度な硬さに抑えられ、フォークを入れて簡単に一口サイズにできた。解凍の待ち時間がない快適さは、思った以上だ。低カロリーなので、「罪悪感」がなく食べられるのもうれしいポイントだった。

ローソンは3商品の売れ行きを踏まえ、ラインアップを拡充するかを判断するという。長時間保存できて、すぐにおいしく食べられる。そんなトレンドに乗った商品が盛り上がりを見せそうだ。

(日経トレンディ 寺村貴彰)

[日経クロストレンド 2021年5月14日の記事を再構成]