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藤井二冠のタイトル初防衛戦が6月から始まる(2020年、タイトル挑戦を決めた時の藤井二冠 代表撮影)

藤井二冠のタイトル初防衛戦が6月から始まる(2020年、タイトル挑戦を決めた時の藤井二冠 代表撮影)

プロ将棋界における藤井聡太二冠(王位・棋聖)の進撃が止まらない。勝率8割台をキープし、自己ベスト2位の19連勝も記録した。6月からは渡辺明名人を棋聖戦で、豊島将之竜王を王位戦で挑戦者に迎え、初のタイトル防衛戦が始まる。まだ18歳。人工知能(AI)を活用して、ヒトはどこまで強くなれるのか。天才を知るには、天才に語らせるに如(し)くはない。谷川浩司九段は史上最年少の21歳で名人に就き、日本将棋連盟の会長も経験、十七世永世名人の資格も併せ持つ。5月下旬に『藤井聡太論 将棋の未来』(講談社+α新書)を刊行した谷川九段に、若き才能の秘密をオンラインで聞いた。

◇   ◇   ◇

――藤井聡太二冠の圧倒的な勝率が続いています。天才集団といわれ、勝負師ぞろいの将棋界も「お先にどうぞ」と出世街道の先を譲るようなムードも出ています。谷川さんは、小学生のころから藤井二冠を見てきました。10年前まではアマチュアの一人にすぎなかった青年が、高度なマインドゲームとされる将棋でなぜ突出して勝てるのでしょうか。

「藤井聡太論」の著者である谷川浩司氏にオンラインでインタビューした

「藤井聡太論」の著者である谷川浩司氏にオンラインでインタビューした

「羽生善治九段も私も中学生でプロ棋士になった時点は、序盤が粗削りでした。しかし藤井二冠はデビュー当初から、序中終盤にほとんど欠点がなく完成されていました。しかも小さくまとまるのではなく、年を追うごとに球速150キロの投手が160キロを超え、球種も増しているイメージです。昨年2タイトルを連取できた背景には、世論を味方にして戦ったプラス面も小さくないでしょうね」

――具体的にはどの点が優れているのでしょうか。

「最大の武器は『局面を捉える力』が傑出している点です。複雑に駒が絡み合う『形』からの精度が高い。だから未知の場面でも好手が指せます。基礎にあるのは詰め将棋で得た終盤力と閃(ひらめ)きでしょう。藤井二冠と私の共通点は詰め将棋を解き、創作することです。同じように数字を追うことが好きで鉄道の時刻表などを眺めていたりもします。こうした趣味は将棋に対しプラスになっていると感じます」

「さらに将棋に対する圧倒的な集中力があります。昨年に持ち時間6時間の順位戦を指しました。中盤で2時間近い長考をし、その次の手を指すときも休憩時間を削って盤面に集中していました。最善手を求める頭の体力がケタ外れだと感じました。さらにメンタルな部分も見逃せない。連勝が続くと反動も大きくなるものですが、藤井二冠は連敗が少ない」

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