お笑いポスト第7世代 オーバー40歳芸人にも注目
特集 沸騰!ポスト第7世代芸人30組(2)
「第7世代芸人」と呼ばれる霜降り明星やハナコ、EXITらに続く、お笑い界の有望株は誰か――。
今後のお笑い界で飛躍が期待できそうな、人材を厳選してピックアップした。前回記事「ぼる塾・ラランド… ポスト第7世代芸人の顔ぶれは」に引き続き、30代、40代の注目芸人を紹介する。[日経エンタテインメント! 2021年4月号の記事を再構成]※情報は掲載時点のものです
経験豊富な30代は即戦力、大阪勢で注目は見取り図
30代でSNSに強い芸人は、インスタフォロワー数75万人超のおばたのお兄さんがいるが、「しゃかりき」もその1組。熊本弁の「光ママ」の動画が人気で、TikTokは土佐兄弟に続いて71万人、インスタフォロワー数は61万人を超える。光ママは絵本やカレンダーにもなっているが、執筆系でいうと、「Aマッソ」の加納が連載や短編小説を発表するなど積極的。2020年11月にはエッセイ『イルカも泳ぐわい。』が出版された。
30代の芸人は、ネタを磨き続けてきた実力派ぞろいで、お笑い系番組が増えている今、即戦力となる人たちばかり。Aマッソ、「ジェラードン」「ネルソンズ」は『千鳥のクセスゴGP』(フジテレビ系)などで、個性を爆発させている。「インポッシブル」は『有吉の壁』(日本テレビ系)で、女子高生にふんした「JKボンバーズ」で注目度がアップ。「鬼越トマホーク」は、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)などで、忖度のないトークが重宝されるケースが多い。「ゾフィー」は『ネタパレ』で、安定感のあるネタを披露している。
賞レースがきっかけで、一気に人気者の仲間入りを果たしたのが、「ニューヨーク」と「マヂカルラブリー」だ。ニューヨークは、『キングオブコント』で準優勝し、『M-1』でも決勝に進出。自虐的に「第7世代」と比べる発言で番組出演が増えたが、あっという間に存在が浸透し、バラエティの中心人物になりつつある。
マヂカルラブリーは、3年前の『M-1』決勝最下位のリベンジを果たして優勝。上沼恵美子とのやり取りも含めて好感度が上がり、メディア露出が急増している。『M-1』で3位となった「見取り図」も、『クセスゴGP』などで全国区に存在が知られるようになってきている。現在は大阪を拠点にしているが、上京するとしたら、かまいたちやアインシュタインに続く存在になりそうだ。
そして、マヂカルラブリーが『M-1』で優勝したことで関心が高まっているのが、大宮ラクーンよしもと劇場を主戦場にする「大宮セブン」。マヂカルのほかに、ジェラードン、「GAG」「すゑひろがりず」がメンバーであり、『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(テレビ朝日系)や『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)などでたびたび話題になってきたが、ここにきて注目度がさらに増した。"島流し"といった独特の言い方を含めてエピソードに事欠かなく、GAGは『キングオブコント』の決勝に4年連続進出しているなど、「賞レースに強い」ことなどが語られている。
40代でも食らいつく、錦鯉やTAIGAに光が
お笑い界の盛り上がりは若い層だけでなく、年長者にとってもいい流れとなっている。40歳以上を見てみると、「天竺鼠」はもともとネタは高く評価されてきたが、最近は瀬下の体を張る一生懸命なキャラクターにスポットが当たり始めている。
『M-1』で人生が変わった2組も40代。「おいでやすこが」は、おいでやす小田とこがけんのピン芸人同士のユニットで、共に『R-1ぐらんぷり』の決勝進出経験があるが、ルール改正で参加できなくなった悲劇の後に、『M-1』の決勝進出を決めた。結果はまさかの準優勝で、以降、多忙を極めることに。「錦鯉」は長谷川が49歳で、『M-1』ファイナリストで歴代最年長記録を更新した。
最年長記録ではピン芸人の「野田ちゃん」も同様で、芸歴22年の45歳で『おもしろ荘』に出場。話題性は抜群で、2回目となるテレビ収録で、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演。ゴールデンタイムのトークでも遠慮することなく大胆発言して、持ち味を発揮した。
同じく45歳の「TAIGA」は、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「40歳過ぎてバイトやめられない芸人」に出演し、放送後に「TAIGAさん」がツイッターでトレンドワード入りするなど大反響。ぺこぱやオードリーに慕われる愛され力で、飛躍が期待される1人に浮上した。
(ライター 内藤悦子、写真 中村嘉昭)
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