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「ゴジラ・ザ・ライド」は遊園地とは思えない恐怖感

今回のリニューアルで最も話題を呼びそうなのが、大型ライドアトラクション「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦(以下、ゴジラ・ザ・ライド)」だ。映画館に訪れた人々がゴジラやキングギドラたちの激闘の真っただ中に放り込まれるというスリリングな設定で、VFX(視覚効果)の第一人者で日本を代表する映画監督である山崎貴氏と今回のリニューアルを手掛けたマーケティング集団「刀」のクリエイティブチームがタッグを組んで作り上げた。

入場前のウエーティングスペースからすでに、仕掛けが始まっている。「巨大物が近づいている」という切迫したアナウンスとともに、みるみるひび割れていく壁。アトラクションのシートが、脱出のために乗り込んだ特殊装甲車という設定。墜落の恐怖、手で触れられそうな至近距離から巨大怪獣が攻撃してくるような恐怖、そして爆発と衝突の恐怖が混然一体となって迫ってくる。

何より怖いのは、自分が乗っている特殊装甲車が死闘を繰り広げているゴジラとキングギドラの間を縫って飛んでいるという設定なので、まるで自分が怪獣に攻撃されているように感じることだ。入場前の注意書きには、健康上のリスクを持つ人への多くの注意書きのほかに、「高所恐怖症、乗り物酔い、船酔い又はしばしばめまいになりやすい方は利用できない」と書いているが、「格闘技を見るのが苦手な人」「暴力シーンに弱い人」も加えたほうがいいのではないか。4歳以上で身長100センチメートル以上の子供から乗車できるが、子供を同乗させるのも慎重にしたほうがいいと感じた。本格的過ぎるゆえに、「うちの子は怪獣が好きだから」などという軽い気持ちで同乗させるのは危険かもしれない。

しつこ過ぎる注意書きだが、これでも全然足りないと思えるほどの迫力
入場してまず驚かされたのは、座席を覆うほどの巨大なスクリーン。壮大なサウンドとともに、謎の巨大生物同士の死闘にいきなり巻き込まれる TM & (C) TOHO CO., LTD.

家族で手塚ワールドを体験できる「レッツゴー!レオランド」

4つのライドアトラクションを含む6つの体験施設がある「レッツゴー!レオランド」にも注目。世代を超えて人気の手塚治虫作品「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」のキャラクターがモチーフなので、家族みんなで楽しめる。

レオランドは長年愛され続けたアトラクションを生かし、ソフト面で改良を加えているのがポイント。ジェットコースター「アトムの月面旅行」は目の前に突然、敵のプルートウが現れて猛スピードで急旋回を繰り返すスリル満点の演出で盛り上がる
懐かしい回転ティーカップアトラクション「レオとライヤのジャングルダンスパーティー」

レッツゴー!レオランド内には、アトムやレオをはじめとした手塚治虫作品の人気キャラクターたちをデザインした西武園ゆうえんち限定のグッズを販売するショップ「レッツゴー!バザール」がある。

「ジャングル大帝レオ」のレオの肉球をイメージしたグミ「レッツゴー!レオランド 肉球グミ」(50園)

遊園地は幅広い年代の家族がみんなで楽しめるように、さまざまなタイプのアトラクションをそろえる必要がある。西武園ゆうえんちのアトラクション構成も遊園地としては常道なのだが、気がかりなのはゴジラ・ザ・ライドの攻撃性の強い恐怖刺激が突出していること。夕日の丘商店街の平和な世界観に没入した後だけに、余計にそう感じるのだ(それが狙いかもしれないが)。

もちろん、ゴジラ・ザ・ライドの刺激を楽しめる子供連れもいるだろう。ただ、そのショックで夕日の丘商店街やレオランドの平和な世界観を楽しめない人がいるかもしれないので、「遊園地のアトラクションだから」と安心し過ぎないほうがいい。

(ライター 桑原恵美子)

[日経クロストレンド 2021年5月20日の記事を再構成]

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