年収1000万円以上の高所得者の応募が目立つそうです。とはいえ応募の目的はさらなる報酬のかさ上げではなく、やりがいだといいます。岡田さんは「培ってきた能力や知見で地域社会に貢献したいという意識が強い。働く側と地方自治体の双方に利点があり、活用は今後さらに広がる」と予測します。

岡田康豊・エン・ジャパン執行役員「地域課題解決へニーズ高まる」

エン・ジャパンは転職支援の一環で地方自治体のキャリア採用を以前から手伝い、今は副業人材の公募にも携わっています。執行役員の岡田康豊さんに地方自治体と働く側のそれぞれの事情、今後の展望をうかがいます。

――京都市の副業人材の公募状況はどうですか。

エン・ジャパン執行役員の岡田康豊氏

「4月30日にネット上で公募を開始し、5月26日に締め切りました。まだ集計中で正確な応募件数は確定していませんが、想定していた応募を開始からわずか1週間で上回るなど多くの方の注目を集めました。京都市が副業人材を募集するのは今回が初。京都というブランド力の高さも人気に拍車をかけた印象です」

「外資系企業や金融機関、IT(情報技術)企業、広告会社など首都圏の大手企業に勤務するビジネスパーソンの応募が目立ちます。年齢30歳前後で年収1000万円を超えている方も多く、専門分野で何かしらのスキルを携えている方々が多数応募してくださったようです」

――なぜ自治体が副業人材の採用に乗り出すようになったのですか。

「最初の転機は働き方改革です。民間企業で社員の副業を容認する動きが広がりました。地方自治体はそれまでも役所内の公務員ではカバーしきれない専門分野の人材を探していました。ただ、UIターン就職のハードルは高く、思うような人材を確保できていませんでした。でも副業を容認する企業が出てきたことで、専門人材を副業ベースで雇いやすくなりました」

「2つ目の転機がコロナ禍のテレワーク普及です。副業人材を真っ先に採用した地方自治体は広島県福山市と言われています。2018年度に5人採用し、それぞれ市政に貢献しました。福山市の成功をみて、ほかの自治体も採用に乗り出します。ただ、このときも副業とはいえ、打ち合わせなどは現地に出向く条件でした。それが昨年からのテレワーク普及で就労環境が一変。物理的距離を気にせずに働けるようになり、自治体側の関心もさらに高まりました」

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