N大学経済学部3年生の南蒼太(みなみ・そうた)。同級生の間でインターンの話題が増え、就活のことが急に不安になったので、労働経済論の授業を担当している安藤先生のところへ相談に来ています。前回はそもそも「インターンとは何か?」について聞きました。
インターンをすると就活に有利?
安藤先生 さて、南さんから最初に質問があった「インターンは必要なのか?」について考えていきましょう。南さんはどう考えていますか?
蒼太 特に1日だけの会社説明会のようなインターンではなくて、一定期間以上のインターンは、できればやった方がいいんだろうなとは考えています。2週間くらいは体験しておかないと、就活では不利になるのかなぁ、と思っているのですが。
安藤先生 まず海外では、経験者採用が当たり前になっているため、有名大学の卒業生でもそれだけでは就職できません。「この仕事をできる人」という募集に対して、「〇〇という仕事の経験があるので、できます」という形で応募するわけです。そのためインターンをやることは学生が職歴を作るために重要な取り組みになっています。
しかし日本企業の多くは、新卒採用で職歴は求めていません。それに、南さんの言っているインターンとは、あくまで就職活動の準備としての職業体験ですよね。なぜそういったインターンをやったほうが良いと思ったのでしょうか?
蒼太 えーっと、それはズバリ就活で有利になるからです!!
安藤先生 確かにそういう面はありそうですね。ただし、どんなインターンをすることで、なぜ就職活動で有利になるのかを考える必要があります。
蒼太 うーん、それが正直よく分からないのです……。
安藤先生 私は、インターンには学生にとってメリットがある、ただし注意点もあると考えています。まず行きたい業界や企業が決まっている場合や、特定の業界についてもっと知りたい場合など、明確な目的があればやった方がいいと言えるでしょう。
実際に希望する業界で仕事をすることは良い体験になりますし、採用されたことが自信にもつながります。一方で、応募したとしても採用されるとは限りません。この場合でも、自分の現状を把握するために有益でしょう。
蒼太 志望する業界でインターンに参加できたら、自信を持てそうです。
安藤先生 また、インターンのグループワークや企画提案などで高い成果を上げた学生は、採用担当者の記憶に残っていて、その会社に実際に応募した際に内定を得る確率が高くなると思われます。
しかし、どこかの企業でインターンをしたという経験が、就活全般で有利に働くとはいえないでしょう。