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SNSで発信続ける臨床心理士 自傷行為をやめた転機は

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日経 X woman

メンタルケアが必要な人により広くアプローチできる手法の1つとして、SNS(交流サイト)を活用した情報発信に力を入れる臨床心理士のみたらし加奈さん。私生活では、同性パートナーである美樹さんと過ごす等身大の暮らしを発信するYouTubeチャンネルを開設。登録者数は4万7000人に上ります(2021年4月末時点)。みたらしさんの個人的な体験を共有しながら、当事者として感じる社会の課題について一緒に考えます。

◇  ◇  ◇

こんにちは。臨床心理士のみたらし加奈です。私は、現場で経験を積みながら、メンタルケアがもっと身近な存在になることを目指して、SNSを中心とした発信を行っています。

ネット上の情報発信を始めたのは、高校生の時。当時、学校前の売店で毎日のように食べていたみたらし団子をSNSのハンドルネームに使い、「みたらし加奈」という名前ができあがりました。

臨床心理士では珍しいとされている自己開示(※自分のプライベートな情報を公表すること)をしているのは、これまでメンタルヘルスについて関心がなかった人にも共感してもらえることで、当事者意識を浸透させていきたいから。日本ではメンタルヘルスに対する偏見があり、心の不調を自覚していても、精神科へ行ったり臨床心理士に相談したりすることができないまま苦しんでいる人が多いと思うんです。

深い悩みを抱えているのに声を上げられない人たちの代弁ができているかは分かりませんが、自分のできる範囲で心の痛みに寄り添いたいと感じています。過去に悩んだ個人的な経験もシェアすることで社会の偏見が減り、今苦しんでいる人の心に届けばいいなと思って情報発信を続けています。

23歳まで続いた自傷行為

私自身、中学時代から20代前半まで自傷行為がやめられなかった時期がありました。当時は「悩みを人に言っても仕方がない」という心境で、専門機関へ行ったほうがいいという周囲の勧めを聞き入れることができず、そんな気持ちをブログやSNSにつづっていた時期もありました。

臨床心理士を目指して大学院で専門的な知識を学ぶうちに、自分の行動が自傷行為だったことを知りましたが、最終的にやめられたのは、パートナーである美樹と出会った23歳の時。「もっと早い段階から専門機関で適切な処置を受けていたら傷は減っていただろうし、何よりも、大切な人たちにつらい思いをさせなくて済んだかもしれない」という思いがあります。

SNSでは悩みを打ち明けられた

子どもの頃から、大勢の中でにぎやかに過ごすよりも、一人で本を読んだり、頭の中でじっくりと考えを巡らせたりすることが好きな性格でした。

小学校受験で挫折するなど、思う通りに動くことのできない自分にコンプレックスを持ち、親しい友達から悩みの相談を受けることはあっても、自分の悩みは「きっと理解してもらえない」「迷惑をかけてしまうかもしれない」と、負の感情を一人で抱え込むように。中学時代はストレスがたまると体をつねったり、爪痕を残したり、自分の体を傷つけることが習慣になっていました。自傷は身近なところに潜んでいて、毛髪を抜く、唇の皮をむくなども自傷行為に分類されます。

高校時代には刃物を使うまでエスカレートしても日常生活は送れていて、深刻な状況だという自覚がありませんでした。周囲に直接ヘルプを求められないからこそ、ブログに「書く」ことで現実と自分を切り離し、間接的に「今、大変かも」と気づいてほしい気持ちがあったように思います。誰に見てほしいとかフォロワーがたくさんほしいといった書き方ではなく、自傷行為や自分の内なる思いについて書きなぐるような、生々しい内容の長文が多かったです。

そうしたSOS発信に対してすぐに反応してくれたのは、遠くにいる匿名性の高い人たち。助けを求めて発信したはずが、「文章を読んで引き込まれた」「共感した」と言ってもらえることでお互いに強い連帯感が生まれたことは原体験として強く印象に残っています。

ネット上に弱さをさらけ出すことは、普通ならできにくいことかもしれません。でも、情報の受け取り手を信頼して発信することで、前向きな共感や理解が生まれるという私のスタンスは、この時の経験が大きいと思います。

同性の恋人の言葉に衝撃受ける

自傷行為をやめた大きなきっかけは、美樹との出会い。美樹は、私にとって初めての同性の恋人です。美樹と付き合い始めてしばらくたったある日、けんかをした後に自分の足をカッターで深く切りつけたことがありました。後日、私の足の傷痕に気づいた美樹は、「痛いよね、痛いよね」と言って手当をしながら、目に涙を流してこう言ったんです。

「加奈ちゃんは自分に刃を向けているように見せて、人に刃を向けているんだよ」

この言葉に大きな衝撃を受け、それ以来、衝動に駆られた時は美樹の顔が思い浮かぶようになり、少しずつ自傷行為をしなくなっていきました。

今振り返ると、美樹と出会う前の私は、「こうあるべき」というさまざまな偏見で自分を縛っていました。古いジェンダーロールにとらわれて明るい未来を描けずにいましたし、周りの大人たちから「理想」を押し付けられていると感じる一方で、私も理想の家族像や大人像を周りに押し付けていたんです。過去の経験から、「いい自分もそうではない自分も丸ごと肯定する」「自分の価値観やステレオタイプを人に押し付けない」ことを大切にしています。

悩みを一人で抱えがちな人へ

本当に悩んでいる時、人は孤独感から、「誰にも分かってもらえない」と感情を抑圧して自分の殻に閉じこもってしまうことがあります。でも、少しだけ余裕がある時には、顔を上げて周りを見てほしい。つらい時、ふと顔を上げたら何も聞かずに友達や同僚がそばにいてくれた。何となく苦しそうにしているのを親が察して、いつもと違う食事が出てきている。そういう形で寄り添われている場合もあります。

悩んでいる人や明らかにメンタルがつらそうだという人が周りにいたら、「何か自分にできることはないかな」と思う人は結構いるものです。私は割とそういうタイプで、自分が友人として相談に乗る立場だったら、大抵の迷惑は全然構わないし、悩んで一人で閉じこもって取り返しのつかないことになる前に、私に何かできることはないかと考えます。でも、「誰かの力になりたい」という人ほど、自分自身が悩んだ時に「相談できる人がいない」「迷惑をかけてはいけない」と心を閉ざしてしまうことが少なからずあります。

コロナ禍でオンライン診療やオンラインカウンセリングも身近になってきました。心の不調を感じた時は、専門機関を利用してもらいたいです。

みたらし加奈
臨床心理士。1993年生まれ。SNSを通して、精神疾患についての認知を広める活動を行っている。大学院卒業後は、総合病院の精神科にて勤務。ハワイへの留学を経て、現在は臨床心理士として一般社団法人 国際心理支援協会に所属しながら、個人での発信も続けている。性暴力や性的同意に関する専門的な知識を発信するメディア「mimosas(ミモザ)」理事。著書に『マインドトーク―あなたと私の心の話』(ハガツサブックス)。女性のパートナーと共にYouTubeチャンネル「わがしChannel」も配信中。

(取材・文 加藤京子=日経xwoman doors、写真 鈴木愛子)

[日経xwoman 2021年5月12日付の掲載記事を基に再構成]

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