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私物スマホも利用可能 課題山積み高校版GIGAスクール

大河原克行のデータで見るファクト

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政府の「GIGAスクール構想」によって2021年3月末(20年度)に、小中学校における生徒1人1台のパソコン(PC)端末整備が完了した。21年4月以降(21年度)はいよいよ高校での端末整備が本格化する。だが、その様相は小中学校とは大きく異なり、課題が山積みだ。

小中学校のGIGAスクール構想では、導入する端末が「Windows PC」「Chromebook」「iPad」のいずれかに決まっていた。だが、高校の端末整備では、工業高校や商業高校といった専門性の高い学校がある点や、地域や高校の実情が異なる点などが考慮され、導入する端末を限定しない。調達方法も多様だ。

PCやキーボード付きのタブレットだけでなく、キーボードなしのタブレットやスマートフォンも導入の対象となる。高校版GIGAスクール構想では、国の財政負担が部分的な補助になっていることもあり、調達方法は「国や自治体が全額補助する整備」のほか、「保護者の一部負担」「生徒が所有しているデバイスの使用」などさまざまな形態がある。

その結果、高校の授業現場では、生徒が所有する私物のスマホを利用することで、1人1台環境を実現する動きが出てきている。調査会社のMM総研(東京・港)が全国47都道府県の教育委員会を対象に実施した調査「高校版GIGAスクール構想における端末配備状況と活用意向」によると、有効回答40のうち15%にあたる6つの教育委員会が1人1台の端末整備に際して「私物スマホ」の導入を検討しているという。

MM総研の調査は、21年2月上旬から3月中旬に電話アンケート方式で実施。47都道府県の教育委員会のうち、40の教育委員会から回答を得た。同調査では併せて高校教員1196人(公立系学校教員69.9%、私立系学校教員30.1%)と、高校生世帯(中学校3年生から高校2年生の子供がいる世帯)の保護者1万1000人へのウェブアンケートも実施し、高校版GIGAスクール構想の実情を多方面から明らかにしている。

例えば、保護者側が期待する端末の種類はPCが54%で最も多く、キーボード付きタブレットが24%でそれに続いた。一方で、スマホと回答した保護者も5%いた。

費用負担で異なる思惑

教育委員会や保護者から、スマホを授業に使用することを望む声が挙がる背景には、高校版GIGAスクールの端末整備に対する政府予算規模が小中学校に比べて格段に小さいことがある。

教育ICT(情報通信技術)の分野で長年の導入実績を持つ内田洋行によると、高校におけるGIGAスクール端末の導入方法には、以下の4つの方式があるという。

(1) 機材貸与:学校や自治体が購入した端末を生徒に貸与

(2) BYAD(Bring Your Assigned Device=指定購入方式):学校が端末の種類や性能を完全に指定

(3) CYOD(Choose Your Own Device=選択購入方式):学校がある程度、端末の仕様や機種を複数指定して、利用者が選択し、購入をあっせん

(4) BYOD(Bring Your Own Device=自由持ち込み方式):個人が購入したスマホも含めて、自由に端末を持ち込む

小中学校のGIGAスクール端末整備は、政府が1台あたり最大4万5000円の補助金を対象全台数分用意して、「機材貸与」方式で進められた。だが、高校版GIGAスクール構想では、最大4万5000円の補助金制度は用意されているものの、その対象は「低所得者世帯等の生徒が使用するPC端末整備」に限定されている。

文部科学省は、生徒3人に1台を整備する地方財政措置に加えて、経済的困窮家庭には国の補助制度も活用しながら積極的な支援を行うことや、設置者負担の場合、一般財源とともに新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や国の補助制度を活用することを含めて検討することを留意事項として示しているが、小中学校のような「機材貸与」で全台数を整備することは難しいのが現実だ。

端末整備の費用負担に関しては、教育委員会、教員、保護者の3者の思惑に差がある。

MM総研の調査に回答した40の教育委員会のうち、「国および自治体の予算で配備・検討中」との教育委員会は21で半数をわずかに超えた程度。19の教育委員会は「保護者負担を利用・検討」と回答が割れた。「機種指定なし」、すなわち私物端末の持ち込みを想定している教育委員会も10あった。

一方、教員を対象にした調査では、53.1%が「政府や自治体の全額負担が望ましい」と回答。一部負担を合わせると教員の74.1%が、政府や自治体に何らかの支出を期待していることがわかった。

保護者に対する調査では、端末費用を保護者が負担する場合、負担できる金額は「年間1万円未満」とする声が最も多く、回答の35.3%。「0円(負担できない)」といった回答が28.9%でそれに続いた。

私物利用で混乱も

気になるのが、私物スマホでの授業の進め方だ。

神奈川県の一部の県立高校では、BYOD方式により私物スマホを利用した授業を実施しているが、地方財政措置などで整備された生徒3人に1台のPCと併用している。

生徒は授業中、私物スマホを校内の無線LANに接続して、必要な資料や情報を検索できるが、授業で指定された場合を除きYouTube(ユーチューブ)などの動画再生は禁止、スマホのOS(基本ソフト)も生徒自らが最新の状態にアップデートして、セキュリティーを確保する必要がある。

宿題をスマホで行うことも想定しており、選択式の問題にするといった工夫を凝らしているという。ただし家庭で宿題に回答する際の通信費は、学校は負担しない。

生徒が私物の端末を持ち込むBYODでは、生徒が利用するのはスマホとは限らない。PCやタブレットを持ち込むケースもあるだろう。その場合は端末の操作方法が大きく異なるため、授業の進め方が悩ましい。利用する端末の性能に大きな差があり、学習に支障を来す可能性もある。

MM総研の調査では、公立高校教員の83%が授業で使用する機種は、「自治体または学校が端末を選定」(すべき)と回答している。保護者も86%が「学校が端末を選定」(してほしい)と回答している。

文部科学省では、保護者負担によるBYODの場合、丁寧に説明しながら、保護者などの十分な理解を得ることが大切だとしている。

来年度からは、小中学校で1人1台のPC環境で学んだ子供たちが高校に進学する。その際に、高校では1人1台の環境が整備されていないといった事態が起こりかねない。使用する機種の違いによって学習機会に格差が生じないよう配慮する必要もある。

高校版GIGAスクール構想は、小中学校以上に難しい課題を抱えている。

大河原克行
ジャーナリスト。30年以上にわたって、IT・家電、エレクトロニクス業界を取材。ウェブ媒体やビジネス誌などで数多くの連載を持つほか、電機業界に関する著書も多数ある。

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