「なぜ、そうしたのか」という理由は排除し、事実のみを丁寧に拾い集めると、自分でも気がついていなかった不可思議な行動をとっていることに気付かされます。

例えば

・時間がないと自覚しながら、コンビニエンスストアの店内をウロウロした
・飲み物を買うか買わないかもパッとは決められずにためらっている
・女性客が邪魔だと思いながら、よけてもらえるよう、声をかけられなかった
・好物のツナマヨネーズを念入りに確認したのにもかかわらず、昆布を選んだ
・揚げ句の果てに、カフェラテを購入している
・カフェラテを注ぎながらおにぎりを食べた

といった具合です。これらはいずれも無意識の行動です。矛盾した行動の背景には、さまざまな心理が隠れているはずです。1日10分間で構わないので振り返り、言語化する時間をとってみてください。1カ月もたつとスムーズに思い出せるようになります。自分でも気付いていなかった事実を見つけられるようになると、自然とお客様の言動から新たな事実を拾い上げる力が鍛えられます。

ステップ2 自分の「感情」「意識」に潜む心を見つける

ステップ1のワークで、行動を丁寧に掘り起こせるようになったら、次は感情、意識の理解を深めていきましょう。ここで重要なのは、自分が今、当たり前のように解釈していることをいったんリセットすることです。そして感情、意識を生み出している「心」を理解する練習をします。

私たちは社会人になった途端、「ビジネスでは事実を基に客観的に話すべきだ」「主観で物事を決めたり、意見を口にしたりするのはもってのほか」といった価値観を教え込まれます。論理的な態度をとることが善とされ、何かにつけて根拠を求められているはずです。その結果、自分の行動について理由を問われると、何らかの理屈をつけて、論理的に説明してしまうことが習慣化されているのです。しかも、それが本当の理由なのか検証もせず、正しいと思い込む。一種の思考停止に陥っている人が大半を占めます。自分は冷静で、論理的なタイプだと思っている人ほど要注意です。

私たちの感情や意識は顕在化されたものです。例えば、喜怒哀楽は自覚できるし、何を感じているかも認識し、説明できます。問題はこれらの感情や意識が、自分も気付いていない心――深層心理によって生み出されているということです。日ごろから、その心を見抜く練習をしましょう。

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ステップ3 心のフタを開ける力をつける
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