ネットでの制作がきっかけに

芸人では、劇団ひとりがNetflixで配信されるビートたけし原作、大泉洋・柳楽優弥W主演の『浅草キッド』(今冬配信)で脚本と監督を担当する。大泉洋とのタッグは、自身の小説を映画化した14年の監督デビュー作『青天の霹靂』以来となる。

『地獄の花園』 真面目に働くOLたちが、裏では日々ケンカに明け暮れていて……というバカリズムのオリジナル脚本による映画。主演は永野芽郁。監督はPerfumeや星野源など、多くのミュージックビデオを手掛ける関和亮(配給:ワーナー・ブラザース) (C)2021『地獄の花園』製作委員会
『地獄の花園』で脚本を担当したバカリズム

脚本家として活躍しているのがバカリズム。20年に映画版が公開された『架空OL日記』などに続き、5月公開の永野芽郁主演映画『地獄の花園』で脚本を担当。「ヤンキーものを」という依頼をバカリズムのアイデアで「OL×ヤンキー」という独特の世界観に昇華させた。

漫才やコントのネタ作りを担当する芸人が脚本に参加したドラマも増えている。1月期の『でっけぇ風呂場で待ってます』では、じろう(シソンヌ)、賀屋壮也(かが屋)、秋山寛貴(ハナコ)、水川かたまり(空気階段)が週替わりで脚本を担当。『京阪沿線物語~古民家民泊きずな屋へようこそ~』ではNON STYLEの石田明が初めてドラマ脚本を手掛けた。

音楽の分野では、アーティストらがプロデュースに乗り出すケースも増加。アイドルグループ「=LOVE」を手掛けるのが指原莉乃。4月7日には、妹グループ「≠ME」がメジャーデビューを果たす。また、AAAのメンバーであり、ソロのラッパーとしても活動するSKY-HIは自ら私財を投じ、オーディションからボーイズグループを育成する「THE FIRST」を始動した。

こうしたタレントたちのクリエーター進出について、『君の膵臓をたべたい』などのヒット作を多数手掛けた映画プロデューサーの春名慶氏は「TikTokやYouTubeで配信する人が増えて、映像作品制作へのハードルが下がったことが背景にある」と指摘。初めてドラマ脚本を手掛けたハナコの秋山寛貴も「YouTubeで週2本コントを作り続けたことで鍛えられた」と語る。ネット向けのコンテンツで企画や制作を自ら手掛けるタレントは続々と増えていることから、この流れはまだまだ続きそうだ。

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2021年5月号の記事を再構成]

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